嘘と勇気の使い所
『嘘と勇気の使い所』
倉持舞子
【登場人物】
青崎…一人暮らしの女性。
強盗…立て籠りをする銀行強盗。
刑事…強盗を追う刑事。
部下…刑事の部下。
※全役性別不問・変更可。
【舞台美術】
一人暮らしのリビング。ちゃぶ台とそれなりに他のインテリア。
はけ口はカーテン。下手が玄関につながっている。
ツラに掃き出し窓がある体で。
【本編】
明転。青崎が鏡を見てピンを差している。
青崎「よっと,どうだろ…ちょっと緩いな,こっちは…不安。やっぱり無難に耳の近くかな」
サイレンの音。
青崎「ん,パトカー来たよ,やだなー。お,曲がった。(音が止む)止まった。えっこの辺なの。うわー。一応様子見て来るか。そーっと覗いてみてごらん…」
青崎,下手ハケ。強盗,銃を向けて入り。
強盗「しめた。でもここにも居ないって,留守?まさか…」
部屋を調べたり外の様子をうかがったり。
下手はけ口をうかがっている所で青崎戻る。
青崎「うわっうわっうわっ」
強盗「うわあああああ」
青崎「どちら様ですか,玄関からお越しください!」
強盗「入り直すかっ」
青崎「やだーナモアミダンブナモアミダンブ」
強盗「死んどらんわっ」
青崎「なんで足あるの」
強盗「死んどらんわっ」
青崎「触れるぞ」
強盗「死んどらんわっ」
青崎「どうしたの,迷子」
強盗「違う…いや,そうかも」
青崎「ピンポンパンポーン,迷子のお知らせをします。青崎さん家へお越しの。」
強盗「お前どんな神経してんだよ,状況わかってんのか!」
青崎「わかるわけないでしょどんな状況か教えてよ!」
強盗「う,その」
青崎「(バッグに目をやり)泥棒しに来たの」
強盗「いや,盗みに来たんじゃない」
青崎「じゃ,くれるの」
強盗「やるかアホ」
青崎「わーんわーん」
強盗「何で泣くんだよ子供か」
青崎「だっていきなり家に不審者がいたら泣きたくなるよそりゃー」
強盗「それは,反論できない」
青崎「じゃあ出てけよー」
強盗「俺だって出ていきたいよ,出ていきたいのはやまやまだけど,やむにやまれぬ事情が」
青崎「事情って何だよ言い訳ですか」
強盗「その,追われてるんだ」
青崎「追われてる?」
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