アダムと死刑囚
アダムと死刑囚


〇キャスト5(男3女2)
森田小春(もりた こはる)・・・女、新米記者、25歳、事件当時17歳
目黒孝介(めぐろ こうすけ)・・・男、記者、33歳、当時25歳
神崎馨(かんざき かおる)・・・男、死刑囚、33歳、当時25歳
神崎奈美恵(かんざき なみえ)・・・女、神崎の妻、享年24歳
刑務官・・・男
目黒亮一(めぐろ りょういち)・・・男、医者、享年50歳(出演無し)

〇舞台セット
舞台中央に黒パネル2枚、その前に黒椅子、神崎は椅子に縛り付けられている(自分で着脱可能)
椅子の前に黒カーテン(遮光カーテンのような分厚いもの)、上手から下手に向かって開く
※カーテン以外でも、舞台上から一時的に神崎を見えなくするセットなら良い

〇小道具
森田・・・資料(紙)、メモ帳、ペン
目黒・・・リンゴ
神崎・・・パネル裏にスーツ
奈美恵・・・本(聖書)




§
舞台は暗いまま、声だけが響く
神崎の声「日本を震撼させた、あの凶悪な殺人事件から八年。一家殺害の犯人は死刑が決まった時にこう言った。『僕は自分の正義に従った。』・・・なあ、正義ってなんだ?」
開幕

§新聞社
地明かり
下手から森田が資料を抱えて走ってくる
森田「へぶっ!?」
中央で盛大に転び、資料をばら撒く
森田「いってて・・・うわぁ、また何も無いところでコケた・・・。」
森田、急いで資料を拾う
下手から目黒が出てきて、資料を拾い、森田の頭をポンと叩く
森田「あてっ。」
目黒「何してんだ森田。」
森田「ああ目黒さん〜!まずい、一番厄介な人に見つかった。」
目黒「なんだと、生意気な部下だな。どうせまた何も無いところで転んだんだろ。」
森田「うるさいなー。」
目黒「そんなことより、お前に良い知らせがあるぞ。」
森田「何ですか?」
森田、嬉しそうに立ち上がって目黒を見る
目黒「お前に記事の依頼が入った。」
森田「え!?」
目黒「今日これから取材に行ってもらうぞ。」
森田「何の記事ですか!?」
目黒「ふっふっふっ・・・政治だ。今度の選挙についての記事だ。」
森田「え!?やったぁぁー!!!ああ、森田小春二十五歳、憧れの新聞社に記者として就職するはいいものの、自分の得意な政治の記事を書けずに、目黒さんにこき使われる毎日・・・でもようやく!政治の記事が書けるんですね!!」
目黒「ああ。この記事を書けるのはお前しかいないと思ってな。」
森田「わーい、目黒さんみたいな先輩に出逢えて幸せです♡」
目黒「はっはっは。そうだろそうだろ。じゃあさっさと取材の準備しろ。」
森田「イエッサー!!」
目黒、森田、上手に去る
(去りながら)
森田「えっ、取材って歩きですか。目黒さん車出してくれないんですか?」
目黒「甘えんな。記者は歩いてなんぼだ。」
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