星のささやき
『星のささやき』
【登場人物】
☆スピカ(星の精霊)(女)
☆セレン(影の精霊)(男)
☆マリー(緑樹の精霊。森の守り主)(女)
☆デネブ(星の精霊)(女)
☆ルーナ(月の精霊。月の番人)(男女兼)
【あらすじ】
星の世界と大地の世界。私たちは、自然に生きとし生けるものに由来する、目には見えない存在。私たちは「精霊」と呼んでいる。与えられた命を大切に、今日もひっそりと生きている。これは、人間が気づきもしない、精霊たちのお話。
スピカ板付き。
オルゴールが聞こえる。キラキラした音。
スピカ「私は夜が嫌い。夜の帳が下りたら、いてもたってもいられなくなる。隣の精霊たちは大地に向かって光を届ける。力強く。つつましく。ほのかに。まばゆいくらいに。さぞ、当たり前のように。宿命を背負っているかのように。それは私も同じだと知っていても、わかっていても、それでも……」
スピカ「……誰かやって来た」
スピカはける。音楽が聞こえなくなる。
マリーがやってきて、木の芽をいつくしんでいる。植わっているのではなく何らかの形で持ち運び可能。
マリー「私の娘。愛おしい命の輝き。月の光をいっぱいに浴びてちょうだい。私のように、強く美しい精霊を内に宿すのよ。大地に根を張り、この森を守って」
セレン「やあ」
マリー「セレン」
セレン「先を越されたか」
マリー「いいえ。今来たばかり」
セレン「美しい夜だ。まさに神秘的で神々しい」
マリー「本当。いつもと雰囲気が違うわね」
セレン「心が躍るな」
マリー「ねえ。月から送られてくるエネルギーが、強いと思わない?」
セレン「言われてみれば。月が照らす力は偉大だな」
マリー「君もテンション上がってる? ほめすぎじゃない?」
セレン「なに、俺に限ったことじゃないだろ」
マリー「あら、わかる?」
セレン「わかるさ」
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