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いまはふたり

いまはふたり

１　都会帰りっぽい少し洗練された装い
２　ラフな格好をしている

セリフの口調などは演出や設定などによって変更可

駅の待合室のようなところ
先に座っている１

２　あ。
１　お。久しぶり…？

　２　出て行こうとする

１　おいどこ行くんだよ。
２　どこでもいいでしょ。関係ないじゃん。
１　いや、うん。別にどこ行ってもいいけどさ、そんな感じで出ていかれるとこっちも嫌じゃん。
２　…よくもまあそんなことが言えるね。もしかするとだけど、何があったか忘れた？？
１　忘れるわけない。忘れるわけないよ。でも、もう何年前だと思ってるのさ。もう５年も前だよ。
２　私は時間で解決する問題だとは思ってない。
１　お前がどう思おうが、解決はしてんだよ。
２　…
１　…悪かったよ。少し無神経だった。
２　少しじゃない。
１　…だいぶ無神経だった。
２　…うん。
１　…。
２　…久しぶりだね。
１　…うん。
２　どうしたの？
１　え？
２　帰ってきたんでしょ？
１　そう、だね。帰ってきた、のかな。
２　何さ、帰ってきたのかなって。また行くの？
１　いや、もう、多分行かないんだけど。ただ、帰ってきたって表現が合ってるのか分かんないからさ。
２　そんなまどろっこしい喋り方する人間だったっけ？
１　そんな風に言うなよ。人間、感傷的になる時があったっていいだろ。
２　別にいいけど、今じゃなくてもいいじゃないの。
１　相変わらず冷たいな。もう少し寄り添ってくれてれば、あの時も−
２　あ～、忘れてた。こういうメソメソメソメソ女々しいところが嫌いなんだった。
１　……。
２　で、どうなの。ハッキリいいなよ。
１　…帰ってきたよ。でも、向こうにも、この街にも居場所はないような気がして。
２　なにそれ。
１　何それって、なんだよ。
２　いつまで子供でいるんだよ。
１　子供って、そんなことないだろ。
２　じゃあなんだ、思春期、半端もん、社会のクズ。
１　そんなに言わなくたっていいだろ。
２　事実そうじゃないか。あん時の尻拭いだって私らがやったんだ。一人で勝手に逃げ出して、何年もほっつき歩いて、それで償った気にでもなってるのか知らないけど、やってることはバイクで走り回って万引きするクソガキと同じだよ。
１　…そんなつもりじゃ、なかった。
２　そんなつもりじゃなくてもそうなんだよ。
１　俺だって苦しかったんだ。息ができなかった。いつまでもあそこに居たら、何かおかしくなってしまうんじゃないかって、金色の象に踏み付けられて足の先から緑色のネズミに齧られてるような。そのまま見境なく、闇雲に、辺り構わず、夏の夕立のように気慰みに、君でさえも、傷つけてしまいそうだったから。
２　…。
１　…だから許してくれってことでもないけど、、、ただ、逃げたわけじゃ、ない。
２　…うん。うん。別に、許したわけじゃないけど、まあいいよ。
１　…ありがとう。
２　別に許しわけじゃないって言ってるだろ。もうやめようこんな話。私もやめるよ、これ以上考えたって何も産まれないし。
１　そう、だね。うん。

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