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カナ【フルスペック】

『カナ【フルスペック】』
作：伊佐場　武

【登場人物】

ミドリ：
シズク：
カナ　：
キノシタ：
カール：
カナモト：

―Ｍ１とともに幕開き
―ミドリとシズクの家
―シズクが原稿を手に、音読（推敲）しながら登場

シズク　　（書きながら）…つまり、これまでのＡＩは単純な作業の繰り返しに対して効率化を望むだけであったのに対し…、…効率化を望む…望む？図る？？…図る…かな？（持ったまま修正し）…効率化を、図る、だけであったのに対し、記憶という膨大なデータを扱えるようになったことで、考えることが必要な作業も可能になったといえる。これらの事実から、将来的にＡＩが担うべき仕事は、ただの単純作業ではなく、むしろ思考や経験を使う…、…使う…はおかしいか…、思考や経験…、あ、（修正しながら）思考や経験、が、必要と、される、分野にこそ求められ、単純作業を人間が担うという逆転現象さえ生じてしまうのではないかと懸念される。っと、こんなもんかな？まさか大学で自由研究をやることになるなんてねぇ…。

―シズク、ふと、腕時計を見る。

シズク　　え？もうこんな時間？？お姉ちゃん帰ってきちゃうよ、とりあえず、コレ、片付けて…、で、手を洗って…、それと…、何だっけ？？…あ！そうだ、それから夕飯の準備だ！

―シズク、机の上のものを一旦、ひとつにまとめ置き、手洗いのために上手奥にはける。
―そこに、ミドリが帰ってくる。

ミドリ　　ただいまー。…あれ？（奥に向かって）ただいまー！
シズク　　あ、お姉ちゃん？おかえりー、ごめん、宿題やってたらこんな時間になっちゃって、すぐ夕飯作るから待っててー。（はけ）
ミドリ　　うん、（見送りながら）簡単なので大丈夫だからねー。
シズク　　（声のみ）分かったー。
ミドリ　　さてと、それじゃとりあえずゆっくり…、あれ？どこ行った？？もしかして途中ではぐれちゃったのかな？？（玄関へ）あ！いた！！何だよかったー。大丈夫だから、こっち、入ってきて。
カナ　　　うん。

―カナ登場

カナ　　　おじゃまします。
ミドリ　　ごめんね、今シズクちゃん料理中だからちょっと座って待ってよっか。
カナ　　　うん。

―カナ、ミドリ、座る。
―ミドリ、カバンの中のものをチェックするが、何かが足りないことに気付き、

ミドリ　　ん？あれ？？あー、忘れたー…。
カナ　　　どうしたの？何か忘れもの？
ミドリ　　うん、ちょっと、ね。
カナ　　　私、取ってこよっか？
ミドリ　　ううん、大丈夫、多分ちょっと分かりにくいところにあると思うから。カナは座って待ってて。
カナ　　　え？でも…。
ミドリ　　すぐ戻ってくるから。

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