電波が聞こえる/伝破
[.net](ドットネット)より
電波が聞こえる/伝破

作:うらしまB3たろ

2003/3/8  発表
2021/11/13 公開の為の調整

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◆はじめに◆
ご覧いただき、ありがとうございます。

この脚本の詳しい情報の参照や作者への問い合わせは
脚本ダウンロードサービス「はりこのトラの穴」の
作家別個人情報をご利用ください。
http://haritora.net/script.cgi?writer=20

「電波が聞こえる」および「伝破」は、
2003年に劇団ASOBUが上演した『[.net](ドットネット)』で使用した戯曲です。
[.net]は6つのショートストーリが連携したオムニバス。
インターネットで飛び交う都市伝説をテーマにしました。

複数のショートストーリーの先頭に「電波が聞こえる」。
最後に「伝破」を配置しました。

自作のショートストーリーとミックスして上演してみませんか?


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◆登場人物◆
・ユッケ
・タカ/声A/回答者A/携帯電話A
・アスカ/声B/回答者B/携帯電話B/待ち合わせをしている人B
・ケータ/声C/司会者/携帯電話C/待ち合わせをしている人C

最少人数4人で上演する場合の例です。
「声」「回答者」「携帯電話」「待ち合わせをしている人」の人数は増やすことができます。

劇団ASOBUで上演したときは「電波が聞こえる」「伝破」ともに15分程度でした。
合計8人の役者で賑やかに演じました。

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「電波が聞こえる」

着信音が鳴る。
続々と登場人物たちがやってくる。彼らは携帯電話を持っていて誰かと話している。舞台上にいない通話相手の声までも聞こえる。空間は数え切れない音声が重なり、騒音になり、さらには電子ノイズが拍車をかける。

ユッケ「やめて!」

一瞬にして、静寂。ユッケだけが舞台上に残る。

ユッケ「『もしも電波に色がついたらどうなるのだろう?』そんな風に思ったことがあります。テレビ、ラジオ、タクシーや警察の無線、そして無限に増殖した携帯電話。私たちが生活しているこの空気の中を、たった今、この瞬間でさえ、何百万、何千万もの電波が飛び交っています。もしその電波一つ一つに色がついていら、それはどんな色だと思いますか?絵の具のチューブを全部しぼり出してバケツに溶かした・・・・それくらいの透明度。目の前に立っている人間ですらも見えないくらいの暗闇です。その中で、私たちは生活をしているのです。」

ユッケは携帯電話を耳に当て、何かを待っている。
アスカがやって来る。とても大きな独り言。

アスカ「あー!もう!さっきから黙って聞いてりゃ、なに?いいか!恋愛なんて駆け引きだ。ゲームマスターの居ない人狼ゲームだ。3歩進んで2歩下がるのが基本中の基本よ。『二晩連続で電話したら、その次の夜はあえて電話しない』ってのがテクニックだろ。『あれ?今日はかかってこないぞ?どうしたのかなぁ?…って心配している俺。もしかして、これはあの子に対する恋心?』って思わせれば99.99%完封勝利!おめでとさん。『チャンスがナイ』『勇気がナイ』『お金がナイ』って。おまえはナイナイ星人かっつーの。少しは自分から攻め込めっつーの!!…はぁ。すっきりした。」

ひとしきり言い終わると、アスカは携帯電話を手に取り、耳に当てる。

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