星が海に満ちる時 -銀河鉄道幻想紀行ー
瀬戸山光子作
星が海に満ちる時〜銀河鉄道幻想紀行〜


登場人物
私    若い女性の姿。白いストールを羽織り、耳にはイヤリングをしている。
鉱夫   老婆の姿。採石用のノミとハンマーを持つ。
漁師   海で手紙をとっている漁師。
車掌   (一応)男性。銀河鉄道の車掌。
女の子   幼い頃の私。
少女   中高生くらいの私。
女    大人になった私。
娘    私の娘。
母    私の母。

舞台配置
舞台やや奥側、列車の座席状に黒の四角い箱が並ぶ。
舞台手前側両端には幕のギリギリに街灯が立っている。

照明
舞台奥側はバンドアで区切り四角い光にして列車の形を表わす。
できれば舞台奥に星球を吊る。なければ、ソースフォーなどで星空の模様を投影する。
バトンからウォータープロジェクターで床に波の模様を写す。なければ横からのブルー明かりなどで水を表現する。
ソースフォーなどで星座や月の模様をホリ幕に映す。
全体に照明はコンバージョンフィルターを入れるなどして、色温度を高めにする(電球色ではなく、白に近い光にするということ)。
ホリゾントライトとホリ幕の間に調光可能なLED電球などを仕込み、ラストシーンで夜明けの光を演出する。
同じく舞台奥中央にバックフットを使い朝日を演出する。




1場 記憶の鉱山
    無音で緞帳が上がる。
    ダークオープン。
    水が滴る音がする。
    私がゆっくり足音を立てて歩いてくる。手には本を持っている。

私    誰か・・・誰かいませんか?

    間。

私    誰かいませんか?何も見えないんです。お願いです、誰か・・・。

    ノミで岩を砕く音がする。

私    誰かいるの?
鉱夫   よく見てごらん。そろそろ暗さに目が慣れてきた頃だろう。

    鉱夫に暗めに照明があたる。

私    ・・・あなたは誰?
鉱夫   そういうお前さんは、誰なんだい。
私    私は・・・。わからない・・・。
鉱夫   名前も思い出せないんだろう。
私    はい・・・。あの、ここはどこですか?
鉱夫   ここは記憶の鉱山。地下の深いところ。自分が誰だったかも忘れた人間の魂が、最後にたどり着く場所。
私    記憶の鉱山?あの、出口はどこですか?私、帰らないといけないんです。
鉱夫   どこに?
私    ・・・わかりません。ただ、自分は帰らなくちゃいけないっていうことだけは、わかるんです。
鉱夫   思い出すものがない人間には、行先もわからない。
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