ひなたのみなそこ
    ひなたのみなそこ



    登場人物
愛鈴   志賀愛鈴(しが まりん)
彼方   峰岸彼方(みねぎし かなた)

    その他の登場人物
※以下の役を3〜10名程度で演じる
生徒   2〜5名程度
先生   1名
審査員   0〜3名程度(0名の場合セリフカット)
審査長   1名
幼愛鈴   0〜1名(0名の場合、愛鈴役が演じる)
幼彼方   0〜1名(0名の場合、彼方役が演じる)
愛鈴母   1名
彼方母   1名
成人した淑女 0〜2名(0名の場合登場しない)
子供を持つ夫人 0〜2名(0名の場合登場しない)
子供を育てた女性    0〜2名(0名の場合登場しない)



        ■■■開演■■■

    1.ふかいところ
    ○深海
    ・深海四〇〇〇メートル
    ・暗い海の底
    ・地球最後の秘境と呼ばれる世界
    ・陽の当たらぬ空間は彼岸と此岸を繋ぐ

    薄暗い空間
    舞台上にはいくつか壁が並び、宙に吊り下げられている
    薄っすらと中央に明かりが入る
    明かりの中に愛鈴が居る
    その周囲にキャンバスや椅子、書類や机が漂っているように運ばれてくる
    愛鈴が独白する間、舞台装置が海底に堆積するように完成していく
    愛鈴は誰かと話すように喋り始める



愛鈴   「海の底ってさ、最後の秘境とか言われているけど……ここが秘境だって言われる理由がよく分かる気がする」

愛鈴   「ええ? だって、こんなに広いのに、こんなに暗い。二〇〇メートルちょっと潜っただけでなんにも見えなくなったでしょ。そこよりもっと深いところだよ。ここ。真っ暗、真っ暗、お先真っ暗。人生と同じ。目の前しか見えなくて、すぐ横に何があるかも分からない。半径百メートル調べるのに何時間もかかっちゃうよ。海に太陽があれば、もーっと楽なんだけどね。手元の明かりだけじゃあ何にも分からないよ」

愛鈴   「ああ、ごめん。愚痴ばっかりで。いや、楽しみだったんだよ深海調査。ずっと海に来たかったからさ。深海に潜りたかったんだ……探し物があるから。見つかるわけないんだけどね」

愛鈴   「なんでもないよ。もうずいぶん昔に諦めたことだから――にしても、この狭さはどうにかならないの? 退屈だし窮屈だし。あーあ。すぐにでも上に帰りたい。空が恋しいよ」

愛鈴   「ん? もしもし? なにか言った? もしもーし。聞こえないの。故障かな」



    壁の一つから人影(彼方)が現れる
    愛鈴からも観客席からも顔は見えない
    人影(彼方)はキャンバスの近くにやってくる


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