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銃と正義とおかまバー

【銃と正義とおかまバー】
・須田圭介(スダケイスケ。男。バーのママ。)
・五十嵐絵里香(イガラシエリカ。女。バイト。)
・立川裕(タチカワユウ。男。訳アリの飛び込み客。)

開幕。洒落たバー。上手に入口。下手奥にカウンター。手前にいくつかテーブル席がある。お洒落な音楽の中、須田がタバコを吸いながらクールにキメている。
カウンターから五十嵐が現れ、須田の後ろに忍び寄る。

五十嵐　わっ！！
須田　　キャッ！！熱っ！！
五十嵐　あっ！大丈夫ですか！！
須田　　あんたねぇ・・・！
五十嵐　ごめんなさい、ママの事驚かせようと思って
須田　　勤務中にオーナーを驚かせるんじゃないわよ！おバカ！
五十嵐　えへへー。暇だったもんですから。
須田　　暇じゃないでしょ。
五十嵐　暇ですよ？お客さん来ないし。
須田　　客が来ないなら掃除！それかグラスでも磨いてなさい。
五十嵐　はぁーい。

五十嵐が嫌々机を拭きだす。

須田　　まったく。最近の若いのは遊び感覚でバイトするんだから困ったもんだわ。
五十嵐　ママが正規雇用してくれればもっと真面目にしますよ？
須田　　するわけないじゃない。
五十嵐　なんでですか。
須田　　何度も言わせんじゃないわよ。未来ある娘をこんなよくわかんないおかまバーで正式に働かせるなんてそんな、非人道的なことできないわよ。
五十嵐　私が働きたいって言ってるんですから、いいじゃないですか！
須田　　だーめ。そもそも、ウチはおかまバーなんだから。女雇ったらただのスナックじゃない。
五十嵐　ママがいるんだからおかまバーですよ。
須田　　いつまでも、いると思うな、おかまママ。
五十嵐　いつまでも居そうですけどねぇ。
須田　　あたしももういい年なのよ。この前の人間ドックでいろいろ引っかかってるんだから。
五十嵐　何引っかかったんですか？
須田　　血圧と尿酸値と肝機能と呼吸器
五十嵐　えー。役満じゃないですか。
須田　　役満よ。不健康国士無双よ。
五十嵐　タバコやめたらどうです？
須田　　無理に決まってるでしょ。
五十嵐　決まってはないと思いますけど。
須田　　あたし禁煙57回失敗してんのよ？もう諦めたわ。
五十嵐　そんなこと言わずにー。
須田　　あたしがタバコやめて、何の得があるわけ？
五十嵐　そんなの、ママが元気でいることに決まってるじゃないですか！私、ママのこと大好きなんですから！ずっと元気にカウンターでお喋りするママと居たいんですよ。ね？

五十嵐、須田ににっこりと笑顔を向ける。その後須田がバツが悪そうにタバコの煙を五十嵐
に吹き付ける。

五十嵐　うわっ！！
須田　　生意気なこと言うんじゃないわよ。
五十嵐　もー、素直じゃないんだから。
須田　　あんたねぇ、大体

ゴツンという大きな音。二人が上手を見る。すると血の付いた腹部を抑えた立川が苦しそう
に入ってくる。

須田　　・・・いらっしゃい。新規さんね？

立川、机に手をつきながら銃を二人に向ける。

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