スーパーヒーローをやりたい
漫才
スーパーヒーロー
                                   作:海部守
時: 現代
所:どこでも
登場人物
・A
・B

A   スーパーヒーローをやりたい
B   なんですか突然
A   あなたはスーパーヒーローをやりたくありませんか?
B   まぁ、男の子ならそういうのに憧れますよね
A   あらまあ、君ねぇ男女差別はよくないですよ
B   どう言うことですか? 話が飛びすぎててわからないんですけど
A   飛んでない! 女子だってスーパーヒーローに憧れてますよ
B   ああ、そういうことね。なんですか? 強大な悪と戦いたいんですか?
A   君ねぇ、暴力はいかんよ暴力は。警察が黙っちゃいないよ。
B   あのですね、あなたが言い出してるんですけど。それに警察じゃ強大な悪はやっ
   つけられないでしょうに。
A   やっつけるだけがスーパーヒーローじゃないでしょう
B   あぁ、でも悪者は話してもわかってくれないでしょう?
A   悪者と戦うだけがスーパーヒーローじゃない
B   どういうことですか? そもそもスーパーヒーローになって何をしたいんです
   か?
A   女子アナと結婚したい!
B   あなた本当に何をいっているんですか? 戦わないヒーローじゃ格好悪いから女
   子アナなんて側に来ませんよ?
A   そこは品揃えでカバーします
B   品揃えって……。必殺技は悪と戦うためにあるものですよ
A   まあ、悪と言えば悪かもしれん
B   それでどういう必殺技というかスーパーパワーなんですか?
A   皆さんの暮らしを豊かに変える力です
B   抽象的すぎますよ。もっと具体的なものはないんですか? 手から火が出るとか
A   危なくない? 建物燃えちゃうよ
B   まぁ、そうですけど、多少危険な方が力を扱うのにためらいが出るじゃないです
   か
A   ためらっちゃダメです。思いきりよくいかないと。
B   まぁ、そうですけどね。じゃあ、冷やすのはどうですか。口から冷凍ガスを吐く
   とか
A   衛生面に問題があるね
B   保健所みたいなことを言いますね
A   保健所は大事よ。数を減らさないで欲しいわ。
B   重いものを宙に浮かす力なんてどうですか?
A   それはいいね。なんキロまで行ける?
B   キロって言うかトンですね。
A   そんなに! それをくれるの?
B   くれるって言うか授かるって言うか、あなたの能力ですね
A   あぁ、私だけの能力か。じゃあ、ダメかな
B   なんでです?
A   搬入担当になっちゃうじゃない。それだとスーパーヒーローをやってるって感じ
   じゃなくなっちゃう
B   良いじゃないですか、普段は搬入のお仕事をしてて正体を隠せるじゃないですか。
   まぁ、力は隠してませんけど。
A   あぁ、よく海外のテレビにあるもんね。社長が従業員のふりしてるってやつ
B   まぁ、社長って言うかヒーローですけどね
A   でも、女子アナと会わない気がする。店の裏側だもん。
B   ちょいちょい気になることがあるんですけど、あなたが言ってるのはスーパーヒ
   ーローの話なんですよね?
A   そうですよ。スーパーヒーロー。
B   世界の平和を守るわけですよね?
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