夕焼け色に飛び込んで
「夕焼け色に飛び込んで」
◆登場人物
少女
子供
漁師
時計屋
花屋
夢
幕
0.青い鳥
〇海辺の病院
磯の匂いが届く海辺の病院
周囲に高い建物がなく、海が一望できる
少女に光があたる
少女 「夕焼けが見えた。手の届きそうな大きな夕焼け。何もかも、焼き尽くしてくれそうなほど爛々と輝く太陽から、目を離せなかった。病院の窓を開けると海の匂いが飛び込んできた。目で見えるものは美しく。香る匂いは懐かしく、波の音が胸を締めつける。叫び出したいのに、私にはどうにもできなかった」
少女の傍で、けれど光の当たらないところから、夢の声が聞こえる
青い服を着た夢は、どこか少女と似た雰囲気を纏う
夢 「もういいよー」
少女 「その時、目の前で鳥が飛んだ。青い青い小さな小鳥。私は手を伸ばした」
夢 「もーいーよー」
少女 「届くわけない。間に合うわけがない。分かっていても、追いかけずにいられなかった。私は、夕焼けに向かって飛び込んだ」
1.夕焼けの裏側
○黄昏の海
この世界のどこにもない海
どこまでも広がる浜辺
赤々と並ぶ彼岸花
果てのない水平線
ボンヤリとした夕焼け色の空に黒い太陽が写される
波の音が聞こえる
空はボンヤリと夕焼け空を描く
少女は歌をうたう
~ 波の狭間に聞こえた歌があった
シャボン玉のように響く声に耳を奪われた ~
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