恋に合わせた照準器
<登場人物>
X・・・男。20歳。殺し屋。完璧に人を殺す。
ヒロ・・・男。32歳。Xの相棒。頭脳戦が得意。
Y・・・女。25歳。Xにライバル意識を持っている。意外と情にもろい。男のふりをしている。
伊集院萌加(いじゅういん もえか)・・・19歳。女。伊集院グループ会長の孫で、お金持ち。大学生。天然。
①殺し屋たちのアジト
季節は春。ある日の昼時。殺し屋たちのアジト。寒々しく殺風景な様子。舞台上には台が置いてある。(家具として使うなど、演出に利用する。この台は大学での屋上になる。)舞台中央でXがうたた寝している。
明転。
ヒロ「おい!X、起きろ!」
X、慌てて起きる。
X「何だ?!何かあったのか?!」
X、警戒心マックスで銃を手に取る。
ヒロ「落ち着け。どうどう。悪い話じゃない。むしろ、とんでもなく面白い話だ。」
X「面白い話?」
X、ゆっくりと警戒心を解いていく。
ヒロ「ああ。今度の仕事は面白い。何しろ、獲物がデカイからな。」
X「・・・デカイ?そんなにヤバイ依頼なのか?」
X期待に胸を膨らませる様子。
ヒロ「ああ。とある掲示板に投稿されていた依頼なんだが・・・ターゲットを一番最初に殺した人間に報酬が支払われるらしい。こんな面白い依頼、プロなら放っておかねえ。すでに物凄い人数がこの依頼に参加している。・・・つまり、同業者同士のバトルロワイヤルだ。このゲームに勝てたら、この世界のトップに立てるぞ・・・!」
X「バトルロワイヤル・・・!で?誰を殺れば良いんだ?政治家か?ヤクザか?」
X、前のめりになる。
ヒロ「聞いて驚くな。・・・伊集院グループ会長の孫娘、伊集院萌加だ。」
X「おお!・・・って、誰だ?そいつ。」
ヒロ「お前なぁ、この世界じゃあ、情報が命だぞ。少しは世の中のことに関心を持て。まったく、俺がいなかったらどうやって生きていくつもりだよ・・・。」
ヒロ、呆れたようにため息を付く。X、ケロリとしている。
ヒロ「伊集院グループは、まぁ、経済界を牛耳ってるドデカイ企業なわけ。規模はどれくらいかって言うと、日本のGDPの10%を占めている。・・・お前、GDPってわかるか?」
X「ゴールド・ドーナツ・ポップコーンのことか?」
ヒロ、無視して続ける。
ヒロ「それだけの大物となると、賞金の額も半端じゃねえ。その額なんと・・・!500億円だ!」
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