たとえばこんなかぐや姫
たとえばこんなかぐや姫
作:海部守
時:中世日本に似た時代。
所:日本に似た国。
お姉さん:お話のお姉さん。かぐやと兼でも。A
お爺さん:B
お婆さん:C
かぐや姫:A
ぷー :D
子ども :E
町人 :E
若様 :E
爺や(魔爺や1):C
婆や :B
魔男(魔爺や2):D
亡者1〜:いればいるほどいい。わらじを食べる。BCD
(アルファベットは過去にやったときに兼ねた役)
プロローグ
お姉さん みんなー、元気かなぁ? お姉さんはとっても元気だよぉ! 今日は良い子
のみんなのために面白い話を持ってきたけど、これで笑わないお友達は頭をお
姉さんの拳固でグリグリしちゃうぞ! 今日のお話はかぐや姫。みんなも良く
知ってるよね? でも、このかぐや姫はみんなの知っているお話とはちょっと
だけ違うんだ。そうね、まずお爺さんは底抜けにいい人なんだけど、お婆さん
はとっても意地が悪くてお金にうるさい人なの。だから、お爺さんはいっつも
お婆さんから愚痴を言われてるんだ。ほら、耳を澄ましてごらん。今日も始ま
ったみたいだよ。
第一場
爺婆の家。
お婆さん お爺さん、一体どうしたんだろうねぇ? あーんなに沢山の傘を持っていっ
たのに、銭がこれだけしかないなんて。さぁ! 言ってごらん。今日はどんな
ヘマをやらかしたんだい!
お爺さん ヘマなんてしていないよ。途中で雨も降ってくるし、皆銭を持ってなかった
んだ。あまりに可哀相で、それで……。
お婆さん それでどうした?
お爺さん 銭はいつでもええっちゅうて貸してやった。
お婆さん ヤソキチ! それで銭が返って来たためしがあったかい?
お爺さん 仕方がないだろう。皆のうちは貧しいんだし……。
お婆さん この家のどこが裕福だか言ってごらん。あたしんちも貧しいんだよ。他所に
かまってる暇なんてないんだよ!
お爺さん またまたぁ。世の中は助け合いじゃよぅ。
お婆さん 爺。そういうことは金のある奴が言うもんなんじゃ。うちのどこにそんな金
があるって言うんだい!
お爺さん (言葉が出ずに口をもごもご)
お婆さん ふん! まあええ。今日はあんたは飯抜きじゃ。
お爺さん ええ? なんでぇ、ずるいよぉぅ。(甘える)
お婆さん 放せ! よく聞け爺! 働かざるもの食うべからずじゃ!(ドドーン!)
お爺さん そ、そういう婆さんはいつも何をしてるんじゃ……?
お婆さん うるさいね! 人のことより自分のことをしっかりやるんだよ!
お爺さん うーん。何をすればいいかなぁ。あ、肩でもももうか?
お婆さん 山へ行って薪でも取ってきな。
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