フェイムルの移動図書館
フェイムルの移動図書館
                                   作:海部守

時:昔むかし、まだ飛行機も自動車もなかった頃。ここではない遠い国のお話。魔女や不
  思議なことが人々の間で信じられていた頃。

場所:中世ヨーロッパ風な世界。

登場人物
マイオ  :木こりの息子。リトの兄。
リト   :本が好きな木こりの娘。マイオの妹。
父    :木こり。
母    :魔女の熱病にかけられる。兄妹の母。
医者   :医者。
東の魔女 :三女。アデリン
北の魔女 :長女。マチョード
西の魔女 :次女。ミヒナ
南の魔女 :四女。マーガレット
子猫A  :子猫。
子猫B  :子猫。
子猫C  :子猫。
子猫D  :子猫。
猫1   :親猫。ゴロゴロしている。(人形)
猫2   :親猫。ゴロゴロしている。(人形)
少年A  :とんちの得意な少年。
政治家  :自分の評価が気になる政治家。(人形)
学者   :自分の評価が気になる学者。(人形)
金持ち  :自分の評価が気になる金持ち。(人形)
火兄   :メンタルと火力の弱い兄。コントロールは抜群。
炎A   :火力はあるがコントロールが苦手。
炎B   :火力はあるがコントロールが苦手。
ムハン  :フェイムル兄弟の兄。文章を書く。
サリド  :フェイムル兄弟の弟。挿絵画家。
メルテル :本の精。移動図書館の全ての本の名前が書いてある。

第一場
   木こりの家。舞台は兄妹の部屋。
   下手舞台袖から家族が食事をしている声や物音が聞こえてくる。

母    リト、ご飯を食べるときくらい本はしまいなさい!
リト   はーい。
マイオ  こいつ、返事だけはいいんだから。
母    マイオ、あなたは少し落ち着きがないわよ。ゆっくりと、しっかりと噛んで食
    べなさい。
マイオ  はーい。
父    明日は早いぞ。ご飯を食べたら、準備をしっかりするんだぞ。
マイオ  うん。
母    はい、でしょ。
マイオ  はーい。ごちそうさま!

   マイオ、下手からやって来ると、背負い袋の中に荷物を詰め始める。
   リトも本を脇に抱えてやってくる。ベットの上で本を開くと読み始める。

リト   ねぇ、世界にある本が全部置いてあるところがあったら、素敵だと思わない? 
    あたし毎日でも通っちゃうわ。
マイオ  お前、本当にバカだなぁ、世界中にどれくらい本があるのか知ってるのか?
リト   知らないわ。でも、きっと沢山の本があるのよ! マイオはどれくらいあると
    思う?
マイオ  僕は知らないよ。だけど、そんな沢山の本をお前なんかが読みきれるわけない
    だろ。
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