Kappa 第一話
（仮面劇ヒーロー・ショー形式）
Kappa （仮面劇） 原案：福力祥晃 脚色：白神貴士
【登場人物】
Kappa ……22世紀初頭の日本に現れた謎のヒーロー。地球の自然を守ろうとする。
mikan＊……関東メガロポリス管理用量子コンピューターをハッキングし、テロリストとして指名手配
された環境活動家。
K4-01＊……メガロポリス機動捜査隊のロボット刑事。mikanを追い続けている。
castant ……ニュースキャスター。映像のみの出演。
ナレーター…すべてのセリフを朗読。
＊ mikanと K4-01 は原則1人二役で演じる。castantとナレーターも二役可能。
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舞台奥に未来の都市の上空に巨大なスクリーンが浮かんでいるかのような映像が映っている。
下手奥から走り出たｍｉｋａｎが上手手前の物陰に隠れる。
Castant
「最初のニュースです。月の領有権を巡る米国と中国の首脳会談が物別れのまま終わりました…
…本日午前9時からドリームアイランド・コンベンション・センターで行われていた、
デューク・トーゴー大統領とリー・シャオラン主席の二度目の会談は、
1969年に始まる月面探査の歴史を強調し、いわば月面の先住権を主張する米国と、
21世紀後半から三か所の月面基地に研究員を常駐させ、実効支配を続けている中国が、
互いに領有権の正当性を主張して議論は平行線のまま決裂しました。
今後の交渉については何も決まっていないとの発表です。
昨年来続いている両国間の緊張は更に高まる事になりそうです。」
上手奥から出て来た異形の男『Ｋａｐｐａ』、ゆっくりと背後から物陰に近づく。
Castant
「関東メガロポリスの頭脳とも言える量子コンピューター・ネットワーク『天岩戸』に侵入し、
そこから入手したと称する『国家機密』をＳＮＳに拡散させた天才ハッカー『mikan』が、
先程ICPOから国際指名手配されました……」
mikanの画像が大写しになる。
Castant
「政府筋は拡散された『国家機密』と称する要注意人物リストや思想傾向データファイルなどは、
セキュリティ演習用のダミーであり、実際の国家機密ではないと語っていますが、
万全の体制を確立させていたはずの『天岩戸』が侵入を許した事は、
関係筋の動揺を呼んでおり、犯人の背後にいずれかの国家的組織の存在があるのでは…との
憶測が流れています……CMの後は最新の海外ニュースです。」
CMタイム…富裕層向けの宇宙空間別荘のCMの後に貧困層向けの食糧配給の政府告知。
死亡保険金が政府助成で二倍になる『早期安楽死』推奨プログラムのCM…などが流れる。
Kappa
「あなたは、どこかの国のエージェントだったの？」
mikanの背後から声を掛けたKappa。mikan、素早く立ち上がり、Kappaの首筋にナイフを当てる。
mikan
「(ひそひそ声で)……お前は……だれだ？」
Kappa
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