ちょっとひといきあまやどり
「ちょっとひといき、あまやどり」

井原(いはら) 兵也(へいや)…喫茶店「やどりぎ」店長 
六条(ろくじょう) 都(と)紀(き)…喫茶店「やどりぎ」店員 
灰谷(はいたに) 千鶴(ちづる)…家出少女
新田(にった) 理一郎(りいちろう)…喫茶店「やどりぎ」の常連客 
堀川(ほりかわ) ぬえこ…新田の彼女 

 舞台はとある喫茶店。客は新田と堀川のみ。六条は二人に飲み物を運んでいる。
 井原は入口付近をうろうろしてお客さんが来ないか見ている。
 新田と堀川は机の上で叩いてかぶってジャンケンポンをしている。

井原  「あー…お客さん全然来ないんだけど!…暇ぁ」
六条  「暇とか言わないでください、店長」

 六条は他の机を拭いたり棚の整理をしに行く。

新田  「店長、それ客の前で言っちゃダメでしょー俺らがいるじゃん!」
井原  「だって君らしかいないじゃん。いつもといっしょ。代わり映えなし!暇オブ
     暇!!」
堀川  「いつもの日常こそが大事だってよく言うじゃないですかぁ」
井原  「今日は非日常を味わいたいの!…ていうかさっきからずっと思ってたんだけ
     ど…(机の上の叩いてかぶってジャンケンポンを示して)何してんの?」
新田  「叩いてかぶってジャンケンポン」
井原  「は?」
新田  「あれ、店長知らない?叩いてかぶってジャンケンポン」
堀川  「こうやってジャンケンして〜勝った方がピコピコハンマーで叩くやつ〜」

 新田と堀川、じゃんけんをする。堀川負ける

堀川  「あ、負けちゃった」
新田  「(ピコピコハンマーを持って)……だめだ、僕にぬえちゃんを殴ることはできな
     い…!こんなにかわいいぬえちゃんの頭にピコピコハンマーをぶつけるなんて
     …!」
井原  「いや、そういうゲームなんでしょ」
新田  「こうなったら…ぬえちゃん!僕をピコピコハンマーで殴ってくれ!」
堀川  「え?でもジャンケンで負けたのは私だよ?」

 BGM・いい感じの雰囲気の曲

新田  「いいんだ…なぜならぬえちゃんに出会った時点で僕は君に負けちゃってるから、
     さ!」
堀川  「りーくん…!じゃあ遠慮なく、えい!」

 堀川、新田の頭をピコピコハンマーで叩く。新田は叩かれているのにどこか嬉しそう

井原  「何この茶番…気持ち悪いなあ」
六条  「さっきからずっとこんな感じですよ」
井原  「家でやってよ。…いや、ていうかそうだよ!(新田と堀川の方を向き直って)人
     の店で何やってんの!」
新田  「だから叩いてかぶって…」
井原  「じゃなくて!え?(ピコピコハンマーとヘルメットを指して)それわざわざ家か
     ら持ってきたの?ここで叩いてかぶってジャンケンポンするために?」
新田  「うん」
堀川  「あ、ヘルメットはさっきそこのナフコで買ったんだ〜さすがに家にヘルメットな
     くてぇ」
井原  「そういう問題じゃなくて!…マジでなんで?」
新田  「いや、店長が(棚を指して)そこの漫画今日くれるって言ったからキャリーケー
     ス持って来たんだよ」
    
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