荊の王子
Heart of thorn
荊の王子
作:海部守
時:中世。
所:ヨーロッパのどこかっぽいところ。
登場人物
・王子イバラ :呪いによって心臓に荊が巻かれた王子。
・孤独なダリア :家族もなく真っ白狼の棲む森の入り口に住む女の子。
・野バラの女王 :呪いをかける魔法の本を持っている。
・野原の王 :王子イバラの父。
・蛙の貴婦人 :人を騙して楽しんでいる。
・真っ白狼 :善良な子犬みたいなもの。
・双子烏兄 :特に何も考えてない。
・双子烏弟 :上に同じ。
・居眠り猫 :実は……。
・侍女A :古参。
・侍女B :リーダー。
・侍女C :新入り。
・苦労だらけのフクロウ:薀蓄が大好き。
・威張りネズミ :中間管理職?
●プロローグ●
城の庭。3人の侍女が掃除をしている。
侍女A 今日もいい天気だね!
侍女B こら、いい天気だからってサボろうとするんじゃないよ。
侍女A サボらないわよ。
侍女C サボらーないでー、サボらーないでー。
侍女A 何よ?
侍女C サボらないでの歌。
侍女B それがサボってるって言うの。
侍女A 野バラの国、見えるかしら?
侍女C どっち?
侍女A あっち!
侍女B あたしは野バラの国、嫌い。
侍女A あたしも嫌いだけど、バラは好き。
侍女C バラ嫌いなんですか?
侍女B バラが嫌いって言うよりも、あの国の女王が嫌い。
侍女A 悪口を言うと呪いをかけられるわよ!
侍女B そういうところも嫌い。
侍女C 呪い?
侍女A 知らないの?
侍女B あんた新入りだったもんね。
侍女C はい。ぴちぴちです。
侍女A 雑草にぴちぴちもなにもないわよ。
侍女B 雑草? ちょっと可哀想じゃないの。
侍女A なによ本当のことじゃないの。身分が低い私たちなんて雑草みたいなもんよ。
侍女B 雑草でも何でもいいわ。こうしてお城で働けるだけ幸せなのよ。感謝しなさい。
手を動かしなさい。
侍女A まぁ、例え雑草だったとしてもあんたたちと私は違う雑草ね。
侍女C どの辺りが?
侍女A あんたはブタクサね。
侍女B 豚? ケンカ売ってるの? ぶつよ?
侍女A ブタクサにぶたれるなんてごめんよ。あんたはセンダグサ。
侍女C はぁ。センダグサ……。
侍女A わたしはヨモギね。香るのよ。
侍女B だったら香りがよく出るようにちょっと揉んであげようかね? 力いっぱい。
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