君と違う春を
君と違う春を
日坂 モトコ(女) 3年…元副部長。
世良川 カイ (男) 3年…元部長。
地島 アヤ (女) 2年…現部長。
現田 イシヤ(男) 1年…部員その1
政本 ケイ (女) 1年…部員その2
倫 オサム(男) 顧問
ケイが一人教室で何かを書いている。しかしその手は時々止まり、そのたびに悩んだ顔でうなっている。
ケイ うーん…?あーでもなー…やっぱり…いやまてよ?
その後も独り言を言っているケイ。アヤが入ってくる。
アヤ ケイ。今ちょっといいかな…って大丈夫?なんだかすごい顔してるけど。
ケイ あ!アヤ先輩!お疲れ様です。いやーだいぶ悩んでいまして。
アヤ それって、コレのことだよね。
アヤ、手に持っていた原稿用紙の束をケイに見せるように出す。
ケイ はい。本当にそれで完成でいいのかなーって。
アヤ 読ましてもらったけど、まあ、話としては変じゃなかったよ?主人公が悩むシー
ンなんかはよく書けてたし。あ、でもこれってここで終わりでいいんだよね。
ケイ なんか、この先の展開を書くと蛇足になりそうっていうか…続きがうまく書けな
いんです。
アヤ まあいいんじゃない?これはこれで。そろそろ脚本が完成しないと春の大会に間に合わないしねえ。
ケイ ですよね。…じゃあ、それで完成でいいか…。
アヤ とりあえず、これパソコンで打ち直してもらっていい?明日までには全員に配り
たいし。
ケイ はい。わかりました。
ケイ、アヤから原稿用紙を受け取る。イシヤが入ってくる。
イシヤが入ってくるころからMEが流れる(OP風)
イシヤ 地島先輩!あ、政本もいた!
アヤ 現田くん?どうしたの、そんなに急いで。
イシヤ いやあのっ部室に、日坂先輩が…。
ケイ モトコ先輩が?いやまあ確かに引退はしたからいるのは珍しいけど、そんなに焦
ること?
アヤ もうすぐ卒業式だし、最後に部室に遊びに来たって感じじゃないの?
イシヤ 違うんです!日坂先輩が…部室に立てこもりました!
アヤ・ケイ はぁ!?
暗転(ME/FO)
明転。扉で区切られている。部屋の中は者がごちゃごちゃと置かれている。その中でう
ずくまるモトコと扉の前で座っているカイ。そこにやってくるイシヤ、アヤ、ケイ
イシヤ カイ先輩!どうですか?
カイ 駄目だ。全然出てこねぇ。
アヤ どうせ先輩がなにかしたんでしょ?ちゃんと謝りました?
カイ どいつもこいつも俺が何かしたと思いやがって。心当たりあるやつは全部謝った
けど何の反応もない。したがってこれは俺のせいじゃない!
アヤ なんかやってるじゃないですか!
イシヤ しかも謝り方超適当でしたよ。「マジめんごー」って言ってましたし。
アヤ もう本当に人としてどうかと思う。
カイ お前は後輩として先輩に対する扱いがどうかと思う。
アヤ それだけのことをしてるってことですよ!
ケイ あの…モトコ先輩はいつからここに…?
カイ 知らん。俺が来たときにはもうこうなってた。だから、開けてもらおうと現部長
のアヤに来てもらったんだ。お前なら部室の鍵持ってんだろ。
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