こどもワイルドライン
こどもワイルドライン
伊丹鉄塔:作
【登場人物】
・おにいさん(28歳)
・少女(10歳)

【本文】

おにいさん:やあっ、みんなこんにちは!
 オレは全国の子どもたちの悩みを聴く電話、
 『全国こどもワイルドライン』のお兄さん、
 そう、おにいさんだぜ!
 ぷるるるる、今日も子どものSOSが
 鳴り響くぜ!とうっ!がちゃ!
少女:もしもし……
おにいさん:やあっ、子どもワイルドライン
 の、おにいさんだぜ!
少女:え、ワ……ワイルド?
おにいさん:そう、どんな悩みもワイルドに
 解決するぞ!(笑い声)はっはっは!
少女:ごめんなさい間違えました。
おにいさん:切らないで切らないで、
 切っていいのは、牛肉のスジだけだぜ!
 そう、ナイスワイルド!決まった!
少女:ふえぇ。子ども専門の相談電話、
 チャイルドラインに掛けたつもりなのに、
 なぜか不審者に繋がっちゃったよ……
おにいさん:悩みがあるなら何でも言いな、
 おにいさんとワイルドに解決しようぜ!
少女:え、あぁ、はい……はぁ。
 実は学校に好きな人がいて。
 私は4年生だけどその人は6年生なんです。
おにいさん:ふむふむだぜ
少女:来年で卒業しちゃう彼に、
 何とか気持ちを伝えたいんです。でも……
おにいさん:どうした!?
少女:おにいさん、恋愛って感じじゃ
 なさそう。
おにいさん:何を言うんだ!おにいさんはな、
 人生経験は多い方だぞ!
少女:ホント?
おにいさん:あぁ本当さ!おにいさん、
 小学生の頃に好きな子がいたんだ。
 その子に良い所を見せたくて、その子が
 苦手なプチトマトを全部食ってあげたのさ。
少女:あ、ちょっとすごい。
おにいさん:まぁそのプチトマトはみんなで
 育てていたものだから、俺が全部食べたと
 バレた途端、誰も話しかけてくれなく
 なったんだけどな!ナイスワイルド!
少女:ふえぇ、ただのトマト泥棒だよ
おにいさん:だが捨てる神もあれば拾う神も
 いるわけだ。中学生になったら、
 おにいさんに話しかけてくれる女の子と
 出会ったんだぜ。
少女:何だか優しそうだね
おにいさん:あぁとっても優しかったぞ!
 その子があんまり優しいから、
 てっきりおにいさん勘違いしちゃって、
 ある日その子にこう聞いたんだ。
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