コーヒーにはミルクを
コーヒーにはミルクを

    登場人物
店長   (A‐No.01)
1号   (カレン=タチバナ)
客    (シンジ=タチバナ)



        幕
    ○人形屋
    世間一般に「人形屋」と呼ばれるアンドロイド専門店のひとつ
    怪しげな雰囲気の小さな店のフロア
    メインフロアであるが商品を置いてあるわけではない
    申し訳程度に接客用の椅子や机がある
    それ以外は山積みのダンボールばかりである
    玄関側の出口と、作業部屋・居住場所へ進む出口は分かれている

    ダンボールの山が崩れ、中から少女(1号)が現れる
    少女は大きく伸びをした後、観客席を見る



1号   「あ~、よく寝た。ああ!みなさんどうも初めまして。私、この店で雑用をしている者デス。ええっ!店に見えない?すいません汚くて。でも店長が「片付けなんて必要ない」って聞かないんデス。困った店長デスよね。そのせいでうちはいつも閑古鳥が鳴いてるわけデス」



    右記台詞の途中で、書類の束を持って店長が入ってくる



店長   「また独り言を言って」

1号   「この人がうちの店長デス。どうでしょう、若いデスよね。まるで十代に見えますよね。でも、私が作られてからずっとこの顔なんデス。なんと、実年齢はヒ・ミ・ツ♪だそうデス。あの姿ででも、きっと四十越えてますよ。もしかすると五十超えているかもしれません。いや、百をとっくに超えててもおかしくありません。見てくださいあの目、生きている人間の目じゃないデスよ」

店長   「何度も言っているが、そこで寝るんじゃない」

1号   「ここが一番好きなんデス。店長はいちいちお節介なんデスよ。まぁ、そこがいいところなんデス」

店長   「おい」

1号   「ハイハイ。って、なんデスかその紙の束」



    1号が店長に呼ばれて振り返ると、書類の山が机に乗っている



店長   「仕事の資料に決ってるだろ。今日中に目を通しとけ」

1号   「残念デスが目はファックスみたいに紙を通せません」

店長   「全部読んどけって意味だ」

1号   「りょーかいデス」

店長   「あと、昨日溜まってた洗濯物全部洗っといて」

1号   「えっ」
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