部分的には好きです…!

「部分的には好きです…!」 作:スワロー斉藤

●1幕目
舞台上では、金子、大家、斉藤、古木の4人が隼人の前に並んでいる。

金子、大家、金子、古木「私と付き合ってください!」
隼人「え、」

金子「ちょっと、なんであんたも言うのよ」
大家「それはこっちの台詞!どういうつもり?」
金子「私は隼人くんに本気で告白しにきたの。あんたみたいな軽い気持ちではないのよ」
大家「は?おまえこそ、どうせ遊びのつもりなんでしょ?邪魔者は去って!ほら!」
金子「去るのはそっちでしょ?」
斉藤「私からしたら去るのは両方だと思いますけどね」
金子「っていうかなんであんたもいるのよ?真剣なところを邪魔しないで」
斉藤「邪魔してるのはあなたたちですよ?それにあなたは同じクラスの彼氏と別れたばかりですよね?」
金子「…なんでそれを。というかそういうのは関係ないでしょ?今一番好きなのは隼人くんなの!」
大家「こんなすぐ男を捨てるような人を相手だと思いたくないな」
斉藤「それに関しては私も同感です」
金子「あんたはどうせ男を外見だけで選んでるタイプなんでしょ?」
大家「それはおまえだろ。私は紛れもなく中身を愛しているの。おまえと一緒にしてほしくない」
金子「そんなの口だけならなんとでも言えるからね。あんたはよく知らない、売れてもないロックバンドでも追いかけてなさい」
大家「アーリースローは今関係ないでしょ!?バンドのことよく知らないだけで勝手なこと言わないで!」
金子「っていうかアーリースローってバンド名ださすぎ(笑)。真逆のこと言ってるじゃない。あんた英語の意味知らないんでしょ?」
斉藤「アーリー、早い。スロー、ゆっくり。…ふふふ」
大家「何でおまえまで笑ってんだよ。響きだ響きが良いんだ」
斉藤「確かに響きは良いですね。それは同感できます」
大家「でしょ?…いや、「でしょ」じゃないから!おまえも知らないくせに、さっきからすぐ同感しやがって!」
斉藤「それに関しても同感です」
大家「おまえな!私のこと馬鹿にしてんの?」
金子「こんな芋虫みたいな会話してるやつらと、隼人くん取り合おうとしてたなんてね。相手にもならんわ」
大家「なに?おまえだって男がいればほいほい近づいてたかってるハエみたいなもんでしょ!?」
斉藤「ハエがアーリーで芋虫がスローでアーリースローですか。うまいですね。ふふふ」
金子「あんたさっきからうるさいんだよ!なんかクールぶって上から物言ってますよの感じ出してきて!
   あんたが有所正しき日本舞踊の家計だからって変な言葉使いして。
   でも最近日本舞踊なんてお金にならないから生活が大変なんですってね。あら、おきの毒にー」
大家「(斉藤を誇張した真似をしながら)それに関しては同感です!」
斉藤「なんなのあなたたち。人を馬鹿にするのもいい加減にしなさい。それに家族は関係ないでしょ!?」
金子「おー、怖い怖い。こんな裏の顔のあるやつが隼人くんと付き合えるわけないわ」
大家「(斉藤を誇張した真似をしながら)同感です!」
斉藤「ほんとうざい。金子だって私の舞踊用の着物見て、「これ売ったらいくら?」とか金のことしか考えてないくせに」
大家「こいつ昼とか安くて大きいパンとかしか食べてないからな。金ないんだろ?」
金子「うるさいわ!そのことは今関係ないでしょ!?」
斉藤「あなたが先にそういう話を出してきたんです」
金子「いらつくわこいつら。…というか古木はなんでここにいるの?ずーっと黙ってそこに突っ立って。
   あれ?迷子になっちゃいましたかー?お家に帰りましょうねー」
古木「…いや、その、隼人くんに話が合って…」
大家「おまえみたいな暗いやつが隼人くんと付き合えるわけないでしょ?」
金子「はー、もうこんな馬鹿なやつらと話してる姿を隼人くんに見せるのも嫌になってきた。隼人くんは私と付き合ってくれるわよね」
大家「何言ってんだ私と付き合うに決まってるだろ?ね、隼人くん」
斉藤「私をこんなハエと芋虫と一緒にしないでください。私と付き合ってください」
古木「えっと、その、私もよければ…」

隼人「ちょっと待ってくれないか。俺も急に4人から告白されて困ってるんだ。
   ここはどうだろう。俺のどこが好きなのかを言い合っていくのは」

金子「なにそれ、こいつらの意見も聞くってこと?」
大家「おまえは不純な理由とかで隼人が好きだから、言えないんだろ?」
金子「な、なに言ってるの?あんただって誰かに似ててかっこよさそうとかの理由でしょ?」
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