ペインフル・スマイル
トライライターズ リーディング公演「恋と話した」
『ペインフル・スマイル』
作:ササキ タツオ
■概要
「君の笑顔は罪深い」と言った彼女の事。
僕は絶対に忘れない。
これは、僕と彼女をめぐる青春と追憶の物語。
■人物
青山省吾(16)高校1年生。
谷口茜(16)高校1年生。
■本編「ペインフル・スマイル」
何もない舞台。
床にはメガネが置いてある。
青山省吾(16)と谷口茜(16)がそれぞれ現れて、
そして、物語が始まる……。
《プロローグ》
青山のMO「彼女にどんな言葉を送れば正解だったのだろう……。永遠に答えの出ない謎の中で僕は迷子になっていた……」
茜「君の笑顔は罪深い」
青山のMO「そんなこと、言われたこと、なかった……」
茜のMO「彼のこと、突き放すしかなかった。そんな私をどうか許してほしい……」
《春》
青山のMO「彼女と出会ったのは……一年前……高1の春の終わり、葉桜が緑色を強くしている頃のことだ。高校生活になじめなかった僕は、率先して一人でいられる口実を探していた。その一つがゴミ捨て当番に手をあげる事だった」
茜のMO「集合ゴミ捨て場で、私はメガネを探していた。私の何がいけないのかわからない。だけど。クラスの女子たちはみんなで私をこの世界から排除しようとしていた。私のメガネをゴミとして捨てるゲームが彼女たちのお気に入りだ」
青山のMO「初めて彼女を見た時、彼女はゴミ袋の山の中で途方に暮れていた。僕はそんな彼女を無視して通り過ぎることもできた。でも、できなかった。彼女は、確かに涙を流していたから……」
青山「あの……!」
青山のMO「彼女は僕の存在に気づいて、慌てて顔を背けて涙を拭った」
茜「なんですか……」
青山「いや……その……こんなところで……何を……?」
茜「別に……なんでもありません」
青山のMO「そう言って彼女はゴミの山の中から出てきた」
青山「でも……」
茜「なんでもありません」
青山「何か探して……」
茜「放っておいてください」
青山「……気に障ったなら、すみません」
茜「……メガネ」
青山「え?」
茜「メガネ、探していたんです。そういうゲームなんです」
青山「ゲームって……え? ここに?」
茜「そうです」
1/7
面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種
Windows
Macintosh
E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。