ヒットマン
とある一室。
地元の先輩と後輩がテレビ電話をしている。
後輩「も…もしもし」
先輩「あ、もしもーし! おつかれー」
後輩「お疲れ様です…」
先輩「誕生日おめでとう!」
後輩「ど、どうも…ありがとうございます」
先輩「いくつになったんだっけ?」
後輩「あ、あの…先輩、ちょっと…」
先輩「どうした? 具合悪い?」
後輩「いや、あの…何でもないです」
先輩「本当だったらそっちに行って祝ってあげたいところなんだけどさ、このご時世じゃん? だからプレゼントだけで悪いけど」
後輩「いやいや、そんな…」
先輩「もう届いた?」
後輩「…はい…届きました」
先輩「どう? 驚いたっしょ?」
後輩「はい、驚きしかなかったですね」
先輩「いや嬉しいなぁ。贈った甲斐があるよ。けっこー高かったんだよソレ」
後輩「あぁ、でしょうねぇ…わかります。…あの、先輩?」
先輩「うん?」
後輩「コレって…本物ですか?」
先輩「いやいや、本物に決まってんじゃん! 偽物って何よ?」
後輩「あぁ、ほ、本物…あぁ…」
先輩「そういうのに詳しい知り合いがいてさ、助かったよ。なかなか手に入らないらしくて」
後輩「あぁ…」
先輩宅のインターホンが鳴る。
先輩「ごめん、ちょっと出てくる。ちょっと待ってて」
画面から引っ込む先輩。
後輩「先輩ヤベェよ…何で誕生日に拳銃送ってきたんだよ…? そういうのに詳しい知り合いって何だよ。絶対ヤクザだろ。やっべ…トイレ行きたくなってきた…」
画面から引っ込む後輩。すぐに先輩が戻ってくる。
先輩「来たよ来たよ! お前のと同じやつ欲しくなって、俺も買っちゃったんだよね! イチローモデルのバット! …あれ?もしもーし!」
すぐに戻ってくる後輩。
後輩「はい!? もしもし!?」
先輩「おぉ、実はさ、お前のと同じやつ買っちゃってさ、ついさっき届いたんだよ!」
後輩「えぇ!? 先輩も同じの買ったんですか!?」
先輩「お前の選んでたら俺も欲しくなっちゃって!」
後輩「うわぁぁ」
先輩「やっぱかっこいいじゃん?」
後輩「修学旅行で木刀買っちゃうのと同じノリじゃないですか」
先輩「それ、いつ届いた?」
後輩「えっと、昨日です」
先輩「もう使ってみた?」
後輩「使う??」
先輩「もう使ったっしょ?どうだった?」
後輩「せ、先輩は…俺にこれを使ってほしいんですか?」
先輩「そりゃそうだよ。せっかく贈ったんだから。使ってくれなきゃ悲しいよ」
後輩「はぁ…」
先輩「お前に似合うと思ったんだよ。ちょっとさ、持って構えてみ?」
後輩「えぇ!? こ、ここでですか?」
先輩「当たり前でしょ」
後輩「だ、誰かに見られたら…」
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