抱きしめられたい
「抱きしめられたい」
作 結城 翼
★登場人物
メイド1まこと (赤)
メイド2あきら (青)
�Tアベリティフ(食前酒)
風が吹いているようだ。
余り広くない無機的な室内。
白いベンチが有る。
まこととあきらが、いろんなものをせっせと運んできて小道具を配置。
段ボール持ってくる。ベンチの前に据える。
もう一つ持ってくる。くっつけておく。
一つの上に電気のたこ焼き器を乗せる。も一つには包丁とまな板。
周りに、まだ切っていないキャベツとたこ、野菜ジュースのボトルを配置。
上手にドアらしきものあるようで、あけようとするがあかない。
いつものことのようですぐあきらめる。
よいしょと後ろの壁の紐を引っ張ると、幕が落ちて背景にずらっと男物のスーツがつり下げられているのが現れる。
にやっと笑って、引っ込むと今度はウェディングドレスを持ってきて掛ける。
たこ焼き器をセット。装置は完成。
だが、それらは少しずつ奇妙というかずれが見られる。
統一がとれていないし、乱雑に、全体として、不調和、不安定な感じを受ける。
風が吹く。溶暗。やがて風に代わり。
音楽。溶明。
まことがボールをかき混ぜながら出てくる。
ちよっとなめてみてよしっと言うような顔をしてすわる。
たこ焼きに流し込み、ふんふんと楽しそうにしている。
あっという顔をして。
まこと:ピックもって来て。
と、呼ぶ。
周りの材料ちらっと見た後、雑誌をみてふんふんいう。
小さい間。
あきら:はい。
と錐を持って出てくる。
もう一方の手にはケーキの大皿。
じろっとみて。
まこと:ばかか。
あきら:なんで。
まこと:錐なんかどうするよ。
あきら:ひっくり返すんだろ。
まこと:あぶないじゃない。
あきら:道具は何でも危ないもんだ。
まこと:どうぐによるだろ。
あきら:ようがたりゃいいよ。
まこと:やだよ。
あきら:なら、何がいる。
まこと:千枚通し。なければアイスピック。
あきら:最初から言ったらいいじゃん。
まこと:空気読めないの。
あきら:あいにく空気は吸うもんです。
まこと:刺したろか。
あきら:あー、痛い痛い。痛いのや。
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