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クランベリーは旅の途中

クランベリーは旅の途中

登場人物

クランベリー（女）：旅を愛し、心の向くままに世界を巡る女性。天真爛漫。
グレイ（男）：世界を旅しながら絵を描き続ける風景画家。「グレイ」はクランベリーがつけた名前。
イアン（男）：街の青年。軽薄な態度の男。

　某国、某所
　人通りが少なく、閑静な街角のスポット
　海岸沿いが一望でき、カモメが鳴いている
　グレイ、カンバスに絵を描いている
　時おり眼前の景観に目をやり、筆を進める
　クランベリー、静寂を裂くようにやってくる
　やがて、グレイを見つける
　
クランベリー：あーーーーーーッ！
　
　グレイ、クランベリーを見るやいなや、
　そそくさと絵を片付け始める
　
クランベリー：あなた、あなた、あなた！
　　　　　　　ああ、これはもう、ここで会ったが百年目ね！
グレイ：多分、使い方を間違ってる。
　　　　それに、人違いだ。
　　　　それじゃあ、さようなら。
　
　グレイ、その場を離れようとする
　
クランベリー：ちょぉっと、待ちなさいよ！
　　　　　　　そんな、逃げることないでしょ？
グレイ：逃げてない。
　
　クランベリー、グレイの行く先へ回り込む
　
クランベリー：久しぶりね、グレイ！
　　　　　　　ん、久しぶりってほどでもない？
　　　　　　　前に会ったのはいつだったかしら。
　　　　　　　まあ、いいわ。ごきげんよう！
グレイ：変わらないな、君は。ゾッとするよ。
クランベリー：また絵を描いていたの？
　　　　　　　前に描いていた絵は完成した？
　　　　　　　何だったかしら。ほら、何とか大聖堂の
　　　　　　　鐘楼（しょうろう）を描いていたでしょう。
　　　　　　　素敵な音色だったわねぇ。覚えてる？
グレイ：待て、待ってくれ。
　　　　とりあえず、落ち着いて。
　　　　質問はひとつずつにしてくれよ。
クランベリー：あら、ごめんなさい。
グレイ：それで、何で君がここにいるんだ。
クランベリー：質問に答えてないじゃない！
グレイ：僕のことはいいから。
クランベリー：何でって言われてもねぇ。
　　　　　　　昨日の朝方、この街に着いたの。
　　　　　　　ずっと来たかったのよね！
　　　　　　　この海岸沿い、有名じゃない。
　　　　　　　噂通り、すごく綺麗ね！
　
　グレイ、頭をかかえる

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