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黄昏ファイター

　　黄昏ファイター

登場人物

　エミ：受験に失敗。
　スズ：リーダー的。友達思い。
　フミ：ムードメーカー。ギターを弾いている。家庭問題。
　キヨ：フレンドリー。絵を描いている。恋愛問題。
　ミン：常に大きな枕を抱えている。オーバードーズ。
　教師：若者に戦い方を教えている。

　日暮れ時。うっそうとした森の中に教室。廃墟のように朽ち果てた壁が少しだけ残っており、汚れた制服を着た女生徒達。よく見れば、その制服はそれぞれ全く違うデザインだ。
　しばらくの間、生徒達は思い思いに作業をしている。スズは幸せそうにフミとキヨを交互に見ている。フミはギターに、キヨは絵に没頭している。
　その様子を呆然と眺めていたエミを、スズが見つける。

スズ　あれ？あなた……

　フミは演奏を、キヨは描画を止めてエミを見る。

エミ　え？
スズ　どうやってここへ？
エミ　どう……どうやって来たんでしょう？
フミ　新入りってこと？ここしばらく居なかったのにね。
キヨ　あなた、名前は？
エミ　……。
スズ　……思い出せないんじゃない？
エミ　はい。
スズ　心配しないで。私たちもそうだったから。
エミ　え？
フミ　ここへ来たってことは、私たちも、あなたもワケありってこと。
キヨ　たぶん、どんな風に暮らしていたかも覚えていないでしょ？
エミ　……。
キヨ　でも、段々思い出しますよ。良いことも悪いことも。
フミ　そうそう。ま、嫌なことが多いね。
エミ　あの、ここって……
スズ　私たちにもよく分からないんだけどね。たぶん学校なのかな。
フミ　そのうち先生来るから。
エミ　先生って、ここで授業を？
フミ　そうだよ。
エミ　……雨の日はどうするんですか？

　エミ、眩しそうに見上げる。南国の鳥の鳴き声。
　フミはギターを、キヨは絵を、既に再開している。

フミ　そういや、雨って降ったことないね。スズちゃん来てからあった？
スズ　ないよ。たぶん降らないんだと思う。
エミ　……ここはどこなんですか？雨が降らないのにこんなにうっそうと、青々として……。
キヨ　私たちも、ここへ来た時は戸惑いました。でもここで過ごすことは、そんなに大変じゃないですよ。
フミ　そうそう。暑くもないし寒くもない。雨も降らないし、夜も来ない。腹も空かないし眠たくもならない。
エミ　不思議な場所なんですね。
キヨ　たぶんここは天国なんじゃないかなって、私は思ってるんです。
エミ　天国？
キヨ　そう考えるのが一番しっくり来るって言うか。
フミ　また言ってる、キヨちゃん。
キヨ　だって、段々昔のことを思い出して来るでしょ？その思い出したことって……辛いことばかりで。

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