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言いたくて、言えない。　(2分)

　　　　風景が見える場所に座っている二人。
　　　　普段二人きりになる事がなく、お互いに上手く話題が見付からない。

　　　　しばらくの間。(10秒以上あったほうが良い)

　　　　間を埋めようと詩弥が一方的に何かの話をしても良い。「料理を作ったら難しか
　　　　ったです！」とか「曇って不思議ですよね！」とか、擬音が多く要領を得ない類
　　　　のもの。何の料理を作ったのか、どんな形の雲なのか、言葉数が多くテンション
　　　　が高い割には具体的な情報が全く伝わってこない。

　　　　間。

詩弥　えっと…、
紗雪　…。
詩弥　なぞなぞでもしましょうか…？
紗雪　…なぞなぞ？
詩弥　ごめんなさい。気の利く言葉を見付けるのが上手くなくて。だんまりの時間を過ご
　　　させてしまって。
紗雪　違う。そうじゃないから。
詩弥　理由を当てられなくてごめんなさい…。

　　　　間。（ここでもまた詩弥が一方的に何かの話をしても良い。沈黙でも可）

紗雪　手…、
詩弥　手？　手遊びしましょうか？　得意ですよ！？
紗雪　…手遊び？
詩弥　違いましたか。また当てられませんでした…。
紗雪　手遊びって、どんなの？
詩弥　えっと、手を出して頂いてもいいですか？
紗雪　どうぞ。
詩弥　失礼します！

　　　　普段の詩弥らしくない俊敏な動きで紗雪の手を取る。

紗雪　おお…。
詩弥　あまりにも勢いよく手を掴んでしまいました…。痛くなかったですか？
紗雪　痛くは、ない。
詩弥　それでは。せっせっせーの…。

　　　　しばらく手遊びを続ける。
　　　　紗雪、やがて悲しそうな顔をする。

詩弥　どうしました？？　やっぱり痛かったですか？？？
紗雪　いや、手は大丈夫…。
詩弥　手ではない他の何処かの部位が？？？　お腹ですか？　頭ですか？　もしかして、
　　　心臓？？？

　　　　紗雪、悲しそうな顔をする。

詩弥　ああ、どうしたら…。
紗雪　ごめんなさい。
詩弥　何故謝るのですか。涙は我慢しなくてもいいのです。
紗雪　…。
詩弥　もしこれまでずっと我慢していたなら、今たくさん泣いてください。今ならお役に
　　　立てます！
紗雪　…しばらく、このままでいさせてもらえる？
詩弥　いいですよ！

（他に好きな人がいるのは知ってるのに。我慢できなくて、ごめんなさい…��

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