スケープ・シープ
「スケープ・シープ」
登場人物
・メアリー かわいい。貧乏。
・モコ クズ。人の愛し方がわからない。
・ベッラ メアリー信者。すぐに感極まる。
・ヨージロー 利己的。仲間意識が高い。
舞台の真ん中に、モコがいる。サスが当たっている。
メア 「あるところに、女と酒と金が好きな男がいました。男はその上、働くのが嫌いだったので、女の金で暮らす生活をしていました。ある日、いつも通り女の金で酒を飲んでいると、お酌をしてくれる女の人が現れていつもよりも飲んでしまい、彼は酔っ払ってしまいました。そして、その後も飲んで飲んで――ついに酔い潰れてしまったのです」
暗転。明転。
ヨー 「……おい、おい!」
ヨージロー、モコを起こす。
モコ 「まだ夢の中なのか?羊が喋ってやがる」
ベッ 「ところがこれは夢ではありません。貴方も羊なのですよ」
モコ 「え?俺、羊になってるー!?」
ベッ 「まあまあ、落ち着いてください」
モコ 「これが落ち着いていられるかよ!」
ヨー 「だから落ち着けって、あんまり騒ぐな!俺たちも元々は人間なんだ。だけどある日、見知らぬ女に――」
モコ 「見知らぬ女?俺もだ!女が現れた、俺の目の前に」
ベッ 「それで?」
モコ 「酒を飲んでて、眠くなって……目が覚めたらこんなボロ小屋に」
ヨー 「俺たちと一緒だ」
モコ 「ところでお前たちはいつからここにいるんだ?」
ベッ 「私はかれこれ二ヶ月ですね」
ヨー 「俺は一ヶ月だ。もう気が狂いそうだ!毎日毎日草しか食べるものがない」
ベッ 「そうですか?私はここの生活は楽しいですよ」
唐突にメアリーが歌う『メリーさんの羊』が聞こえてくる。
モコ 「何か聞こえるぞ」
ベッ 「ああ、来ました!私たちの天使が!」
モコ 「て、天使?」
ヨー 「コイツの病気だ、気にすんな」
メアリー、登場。
メア 「おはよう、ベッラ!」
ベッ 「メアリー!今日もおはようございます!」
メア 「おはよう、ヨージロー!」
ヨー 「おうよ」
モコ 「おい、何でお前日本人みたいな名前なんだ?」
ヨー 「知るかよ」
メア 「あら?貴方は一体だあれ?」
モコ 「俺?俺は――」
メア 「モコちゃんって言うのね!」
モコ 「も、モコ?」
メア 「私の名前はメアリー。この小屋の横にあるお家でおばあちゃんと二人で暮らしているの。それで、モコちゃんはいつこの小屋に入ったのかしら。ベッラとヨージロー、何か知ってる?」
首を振る二人。
メア 「貴方達も知らないのね。じゃあ、また神様がくれたお友達かしら! あ、そうだったわ。みんなにご飯をあげないと」
草を三匹の目の前に置く。
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