星のオーナーさま
星のオーナーさま

登場人物
 わたし 名前は雪山由紀子。会社員。
 星野さん 火星の上空を回る居住型人工衛星のオーナー。
 花園君 星野さんの幼馴染であり恋人。星野家の人工衛星の管理人。
 蛇足 大金持ち。「金ならいくらでもある」が口癖。
 狐山 星野さんが地球に来たときに同棲した男。
 
 他の登場人物は、星野さん、花園君、蛇足、狐山の役者が演じることを想定している。
 以下。
 わたしの「母」
 星野さんの父
 星野さんの母
 王様
 銀行屋
 医者
 階段男
 会社員たち

場所・時 2,222年。地球の日本、雪の降る地方都市。


 開幕。
 明かりが入る。
 ひらけた舞台上には、段差のあるセット。中央は広く空いている。
 登場人物が全員、めいめい好きな位置に腰掛けている。
 わたしが口火を切る。

わたし に。
全員 五十音図ナ行第二段。硬口蓋鼻音の有声子音と前舌の狭母音とから成る音節。
星野さん に。
全員 二つということ。
わたし に。
全員 離れがたく、対をなす。並び称されるもの。または互いに相反する。別のもの。
わたし 二言はない。
星野さん 二心を抱く。(花園くんに)ニシン?
花園君 魚じゃないよ。…「に」。
全員 持ち運んだり送ったりするために、ひとまとめにしたもの。荷物。
狐山 に。
全員  一の次の順序。二番目。第二位。つぎ。
わたし  一の次の順序。二番目。第二位。つぎ。
全員  一の次の順序。二番目。第二位。つぎ。
蛇足 に。
全員 名詞の下に付いて、複合語をつくり、そのものに似ていることを表す。
狐山 おとうさん似。
蛇足 おかあさん似。
わたし (星野さんに)私たちは似ていた。
星野さん いいえ、全く反対だった。
わたし だけど、すごく似ていた。
星野さん に。
わたし にーっと、笑うこと。(満面の笑顔)
星野さん 誰かと笑うこと。
わたし 喜び、そして嬉しがること!

 うねるように歩き出す、全員。次第に足取りが速くなる。
 二人組となり、互いの手を合わせてぐるぐると巡る。
 回るごとに相手を変え、どんどん移動する。

全員 「に」は、二つということ。
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