ラジオドラマ『思わせぶりカルタ』第3話
『思わせぶりカルタ』 第3話
【登場人物】
♀ 加茂北 希(かもきた のぞみ) :29歳・独身。エビス出版の編集員。酒豪。
♀ 田村 菜月(たむら なつき) :24歳・独身。エビス出版の事務員。常に鼻にかかった甘えた声で話す。腹黒。
♀ 浅野 万理(あさの まり) :年齢不詳・独身。エビス出版の経理。お局様
♀ 高橋 柚木(たかはし ゆずき) :24歳・独身・彼氏あり。エビス出版の編集員で社長の一人娘。完璧人間。
♂ 相澤 啓太(あいざわ けいた) :26歳・独身。エビス出版の営業員。気が弱くリアクションが薄い。
♂ 加藤 賢治(かとう けんじ) :48歳・既婚。エビス出版の営業部部長。世話好きだがスキャンダル好き。解説担当
※部長=ナレーション
♂ 内藤 総一(ないとう そういち):34歳・既婚。エビス出版の総務。実況担当。
【思わせぶりワード】
○や『やっぱりつまんないな。あなたがいないと…。』(加茂北)
○き『キミにだけ、お願いがあるの。』(加茂北)
○ち『ちゃんと見て、あなたの近くを…。』(加茂北)
○い『意外と近くにいると思う。あなたを認めてる人が…。』(加茂北)
ナレーション「この物語はフィクションであり、実在の人物・団体、特に実在する秋田県とは一切関係ありません。」
ナレーション「前回までのあらすじ。
未婚女性同士で標的の男性を奪い合う“思わせぶりカルタバトル”。
29歳独身加茂北希は、そこで田村菜月、通称ナッちゃんと、経理のお局様、浅野万理を同時に撃破。
しかし標的である相澤啓太は、いつの間にか社長の愛娘である高橋柚木のもとへと身を寄せていた。
加茂北希、最大の闘いが幕を開ける。」
第1話から続く飲み会会場の居酒屋。
バトルの対象となる未婚男女4名分の席と、その他のエビス出版社員が座る宴会席が少し離れて配置されている。
店内の喧騒が聞こえる。
営業部部長の加藤と総務の内藤は実況・解説として別室からモニターしている。
加茂北たち当事者に実況・解説の声は聞こえていない。
基本的に加茂北たちのパートでは居酒屋の喧騒が混じるが、実況・開設のパートでは背景は無音である。
加茂北 「あ、相澤くん、どうしてそっちのテーブルにいるのかな?」
相澤 「いや、柚木さんがこっちに来いって言うんで…。
菜月 「“柚木さん”…!?」
万理 「な、何で柚木ちゃんの言うことは素直に聞くのかなぁ〜?」
内藤 「三選手、納得できないといった様子です。」
部長 「特にナッちゃん選手はダメージが大きいですね。
『名前で呼んでも良いんですよ』の札でアプローチをかけたにも関わらず律儀に『田村さん』と呼んでいたのに、
こちらは“柚木さん”と下の名前で呼んでいますからね。」
内藤 「ナッちゃん選手、目が全く笑っていません。」
部長 「まぁ、彼の場合、社長と混同しないように苗字ではなく、下の名前で呼んでいるだけかとは思いますが。」
内藤 「それでも『名前で呼んでいいんですよ』という思わせぶりワードを繰り出したナッちゃん選手としては…。」
部長 「えぇ。引っかかるところはあるでしょう。」
菜月 「相澤先輩、加茂北先輩の話がまだ…。」
柚木 「万理さん、加茂北さん、ナッちゃん、皆さんもこっちに来てください。」
加茂北 「え?」
柚木 「まったく、信じられません。4人だけ仲間外れにするなんて、こんな幼稚なことを会社ぐるみで…。」
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