二人の男と
レディ・キラーのカクテル
必要な物
・長机
・椅子(最低3脚)
登場人物
・田島(既婚の男
・徳重(未婚の男
とあるバーのカウンターで田島が一人で飲んでいた。他に客は居ない。
田島「すみません、おかわり貰えます?コレと同じやつで。」
マスターが田島にカクテルを作る。そこにカランカランと鉄の不規則な音が聞こえた。手持ち無沙汰な田島がドアの方を向くと男が一人立っていた。
徳重「お店、まだやってます?」
そうマスターに確認してからカウンターの前へ。徳重は田島から離れた場所に席を決める。
マスターは出来上がったカクテルを田島に差し出す。田島はグラスに口を付けゆっくり味わう。
徳重「あー、何か酔える物でお願いします。」
徳重は上着を椅子に掛けながら、マスターに注文する。
田島「お兄さん、酔いたいならコレがいいよ。」
田島が自分のグラスを持ち上げて徳重に見せる。
田島「度数が強いから酔いが回って家に帰れなくなっても自己責任だがね。」
ニヤニヤと笑う田島。徳重は酔っ払いとは関わりたくなかったが、逆上されても嫌なので穏便に済ませようと思った。
徳重「えっと、じゃあそちらの方と同じ物をお願いします。」
飲み物を待つ間、徳重はスマホを見て田島と関わらないようにする。
やがてスマホの画面を見て肩を落とす。
徳重「……はぁ。」
田島「暗い顔だなー。彼女にでも振られたのかい?」
徳重「え?ぁ、いえ、違います。仕事が忙しくて会えないだけです。」
マスターが徳重の前にカクテルを置く。徳重はやけ酒なのかグラス半分程を一気に飲む。
徳重「…美味しい。これ美味しいですね。」
田島「そいつは良かった。俺も気に入ってるんだ、酔いたい時はコレに限る。」
徳重「これ、なんていうカクテルなんですか?」
田島「レディ・キラー。B52(ビー・フィフティ・ツー)って言うんだ。由来はアメリカの爆撃機。度数の高さと火力の高さを掛け合わせた名前だってさ。誰かを殺したい時にはぴったりな酒だろ?」
徳重「へー、そうなんですか。博識ですね。」
田島「なぁ、君。君は殺したい程、人を憎んだ事があるか?」
徳重「え?何です急に。ある訳ないじゃないですか。」
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