それは、世界が終わるみたいに(声劇用)
ハチ よっ
ヤナギ …きたの。
ハチ きちゃったー
ヤナギ ホントに来るとおもわなかった。
ハチ ちょっとなにそれ、オレが約束やぶったことありましたー?
ヤナギ わりと。
ハチ ひひっ、そだね。あー、しっかしすごいな!星ばっか!
ヤナギ そうだね。
ハチ これやっぱあのナントカ彗星ってやつのせい?
ヤナギ ブローク彗星。でもそのせいじゃない。
ハチ あらそう
ヤナギ 星はずっとあったよ。みんな見てなかっただけ。
ハチ ふーん、お前は見てたの?
ヤナギ 見てた。ずっと。
ハチ おーさすが天文部部長!よっ!
ヤナギ お前、副部長でしょ。ていうか僕らふたりしかいないよ部員。
ハチ 幽霊部員だからなー俺。お前が名前だけ貸してっていうからね。やさしー俺!
ヤナギ はいはい。
ハチ スルーすんなよぉ。
ヤナギ はいはい。
ハチ つめてーな。それが世界の終わりを一緒に迎える奴への態度?
ヤナギ 別に、一緒に迎えようなんて言ってない。
ハチ でも嬉しいっしょ?
ヤナギ …今から帰れば間に合うんじゃない。こういうのは家族と迎えたほうがいいと思う。
ハチ んー、今頃もうおとんもおかんも避難しちゃってんじゃね?国の作ったタイ…なんちゃら、ってやつ?
ヤナギ 対ブロークン彗星汚染環境対策施設。
ハチ それそれ!あんなのに行っても助かるかどうかなんてわかんねーのにな?
ヤナギ それでも助かりたいよ、普通。一ミリでも希望があるなら縋りたくなる。特に大人たちは、守りたいものも無くしたくないものも多すぎるから。
ハチ ああ、だから若い奴らは意外と町にまだ残ってるんだな!ここまでに結構いたぜ。みんな好き勝手やってて楽しそうだったなー、あはは!
ヤナギ …なら、おまえの彼女もまだいるんじゃない。会いに行けば。
ハチ あーカオリ?いたよ、会った
ヤナギ じゃあなんで、
ハチ あいつね、俺の知らない男と一緒に泣いてキスしてた
ヤナギ …そっか
ハチ あいつの最後に一緒にいたいやつは俺じゃないんだよ。俺が選んだのがあいつじゃないみたいに、あいつも俺を選ばない。そんだけだよ。
ヤナギ まあ…そんだけ、だね。
ハチ そうそう!そんだけ!
ヤナギ …なんか飲む?
ハチ おっ、コーラのみたい!
ヤナギ ないよ。そんなのとっくに手に入らないでしょ。
ハチ 言ってみただけだって。あ、ポカリ!すげーなまだ残ってたのお前んち!
ヤナギ 粉まぜるやつ、ちょっとだけだけど…
ハチ あーお前、よくこれ作って俺の試合もってきてくれたよなぁ!お前のポカリの配合マジで神だったー
ヤナギ よく覚えてるね、そんなこと。
ハチ あたりまえっしょ。なーんでも覚えてるよ俺は
ヤナギ じゃあ貸した五千円返して。
ハチ な、んのことかなー、わすれちった。無効無効!
ヤナギ 都合のいい頭。
ハチ いいんだよ、大事なことはちゃんと覚えてるから
ヤナギ 何、大事なことって。いっつも適当言って。
ハチ 「この世界が終わるみたいだ」って
ヤナギ …え、
ハチ お前が言ったんだぜ?俺の最後の試合終わって、帰り道祭りの打ち上げ花火見ながら。「この世界が終わるみたいだ」って
ヤナギ …そしたらお前が、「こんな綺麗な世界の終わりなら、絶対さいっこーだよな」って言った。
ハチ そー、だから約束したろ
ヤナギ うん。約束した。
ハチ 俺さ、ここに来るまでめっちゃ必死にお前のこと探してたんだぞ。マジちょー疲れた!
ヤナギ だって、そんな昔のこと、本気にしてるとか、思わなかった…
ハチ 俺、わりと誠実よ?歴代彼女全員のお墨付き!
ヤナギ だから浮気されて全員から振られたんじゃん。
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