氷の世界
“氷の世界”
・男
・女
・夫
・妻
※『』と「夫」男の一人二役。女、妻は録音にすることで一人芝居に。
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風の音のSE
主人公、椅子に腰かけて窓の外を見ている。
明転
女「マッチは要りませんか?」
『窓の外から声がする。
駸々と降り続いている雪空の夜。
女性の声がする』
女「マッチは要りませんか?お安くしておきます」
『“マッチ売りの女”
だいぶ昔からそんな存在がいた、らしい。
窓から外を覗くと、確かに赤い頭巾を被った女の姿が見える。顔は見せない』
ヤカンの沸騰音
『ヤカンが鳴った。
火を止めて、カップに次いで戻ってくると女の姿は消えていた』
暗転
『明くる日。夜の雪。
昨日ほどは降っていないが、寒くない訳じゃ無い。
窓の外には女がいた』
彼女「マッチは要りませんか?」
『外でマッチを売ってる女というのは昨日今日から始まった事じゃ無い。
この地域は年末から雪が降り出す。
雪が降り出す季節になると現れ、降る季節が終わると姿を消す。
毎年、毎年、毎年…この地域では珍しくは無い、らしい。
僕は昨年の夏にこの街に来た。この街の雰囲気は気に入っている。
適度に便利で、適度な気候で、適度な近所付き合いだ』
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