Plastic Rail
Plastic Rail
Ver4.2
(上演バージョン)
男
女
◇男の家 二次会も終わり、終電も無くなった頃。
女、椅子に腰かけて伸びをしている。片手には酒。退屈そう。
女 「ねぇ、まだ?」
男 「あー、ちょっと。ちょっと待ってて。」
女 「早くしてよー。
男 「あ、これだこれ。お待たせしました。
男が扉から箱を持って入ってくる。
男 「じゃ、これで。
女 「え、何それ何それ。
男 「プラレール。
女 「……は。
男 「……プラレール。
女 「ちーがーうーでーしょ。お前何考えてるんだよ。
男 「え。
女 「いや、もっとこう──あるじゃん。元カノと元カレが、同窓会で久し振りに出会って、あの時は飲めなかったお酒も飲んで、二次会のカラオケも楽しんでさ。あぁ、やっぱり歌ウマいよねェ。
男 「あ、うん。ありがとう。
女 「で、終電が無くなった訳じゃん。元カノが元カレに、君の家、何か面白いもの無いのーって、聞くじゃん。
男 「あるよ。
女 「他に無いんかい。
男 「あと家にあるのは……仮面ライダーの──
女 「二人で。一緒に楽しめる、面白?いもの。
男 「一緒に……?
女 「そう、二人で一緒に。
男 「……あー、桃鉄があったのにな。
女 「なにそれ。
男 「え、知らない?日本全国の駅を巡って、物件を買い漁るんだよ。電車に乗って。
女 「電車から離れろよ。え、なに。ゲームなの。
男 「うん、ゲーム。
女 「じゃ、いいよそれで……。
男 「いや、でももう売っちゃったんだよ。プレステごと。
女 「……なんで今ここに無いものを言うんだよ。お前、そんなんだからカレカノに元が付くんだぞ。私の後に他の女と付き合えたのか、そんなんで、オイ。
男 「……。
女 「……いや、ごめん人の家に上がり込んでるのに、好き勝手言い過ぎた。
男 「……これしか無いよ、後は仮面ライダーの変身ベルト。
女 「いや……うん、ありがとう。変身ベルトはいいや。つか、私はプラレール分かんないんだよね。
男 「あ、嫌いだった?
女 「嫌いとかじゃなくて、そもそも遊んだことが無いの。
男 「へぇ。じゃあプラレールで遊ぶの初めてなんだね。そっかァ。初めてプラレールを遊ぶのが、俺とかァ。いいよ、安心して任せときな。
女 「いや、それは気持ち悪いよお前。
男 「えッ。
女 「ごめん、ストレートに言い過ぎたのは謝る。
男 「俺はただ、プラレールを手取り足取り教えてあげようと……
女 「いいよ、君が電車好きでも。大人の趣味としても別に軽蔑したりしない。むしろ、没頭できる趣味があるだけ凄いと思うよ、尊敬するよ。でも、どうしてプラレールなんだよ。電車なら、ホラ。鉄道模型とか、ジオラマ?とかあるじゃん。
男 「鉄道模型はね、違う。まず電車が主人公じゃねえの。
女 「電車が主人公。
男 「あれは結局、ジオラマでしょ。電車を含めた風景を楽しむもんなのアレは。もちろんそういう楽しみ方も分かる、分かるよ。一方、プラレールの本質は、レールを組み立てることに会ってね、これが意外と奥が深いの。自分が敷いたレールを電車が走る。この快感がたまらないのよね。で、ジオラマと違って、一度敷いたレールも、またバラして、新しいレールを敷きなおせる。また違った電車の表情も楽しむことが出来るんだよね。
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