あいむふぁいんせんきゅー
あいむふぁいんせんきゅー
アリスのナレーション
「たくさんの人が死んだ戦争があった。大きな国にたてついた、小さな国が起こした戦争があった。
最初から勝てる戦争ではなかった。それでも起こしたのだから、本当に馬鹿な戦争だと思う。
私の家族が死んだ。私の友達が死んだ。私の知っている人はみんなこの戦争で死んだ。
大きな国が落とした科学爆弾のせいで死んだ。
だけど私は生き残った。なぜか私は生き残った。生き残った私は大きな国に引き取られた。」
明転。上から縄で縛られるアリス。長そで長ズボンを着ているが汚れている。
そこに博士が笑顔で入ってくる。
白衣の助手が鞭で叩いていた様子だが博士と交代で研究室から出て行った。
博士「やぁアリス。元気かね?」
アリス「・・・」
博士「ちなみに私はとっても元気さ。」
アリス「・・・」
博士「今日は君と会えることを心待ちにしていたんだよ」
アリス「・・・」
博士「それなのに・・・・」
急に物あたり機嫌が悪くなる博士
博士「なんだいアリス・・・その眼は?」
アリス「・・・」
博士「なにか言いたげじゃないか?・・・なぁ!?」
顔を手で押さえこむ博士
博士「アリス・・・君が何を考えているかどうか知らないけどね・・・・・」
アリス「・・・」
博士「僕は本当に元気だからね!疑わないでくれるカナ!?」
アリス「そんなことは全然考えてないですよ博士」
博士「いーや!疑っているね!だって最初に僕に向けた眼差し!あれは僕の発言に疑っている目だったもんね!」
アリス「そこまで博士に興味は持ってませんよ。わたし」
博士「僕はめちゃくちゃ元気なんだから!その証拠に今日は朝からビックマックを食べちゃったもんね!」
アリス「朝のマクドナルドには朝マックしかないからビックマックは頼めませんよ?」
博士「え?そうなの?」
アリス「食べてないのもろばれじゃないですか」
博士「あ、やべ」
アリス「結局嘘なんじゃないですか」
博士「くそー!エリートの私がこんな初歩的なミスをーー!」
アリス「しかもこの嘘つくの2回目ですしね」
博士「え?そうなの?」
アリス「なんで自分が忘れちゃうんですか」
博士「僕は振り返らない主義なんでね」
アリス「あ、そうですか」
博士「僕に興味をもってくれよーアリスー」
アリス「なんで嘘ついてまで元気って言ったんですか?(棒)」
博士「まさかの棒読み」
アリス「で?なんでですか?」
博士「そりゃあ挨拶だからね。はうあーゆー?あいむふぁいんせんきゅーえんでゅー」
アリス「あれ別に無理にあいむふぁいんって言う必要はないんですよ」
博士「え?そうなの?」
アリス「なんでそんなことも知らないんですか」
博士「中学の時にそう教えられたから外国人と挨拶するときは最高のコンディションでのぞまなきゃならないとばかり・・・」
アリス「だから毎回僕は元気って言ってたんですね」
博士「アリスが喋らないから、挨拶の会話のくだりをひとりで全部やるの毎度しんどかったんだよね」
アリス「よかったですね。嘘がばれて」
博士「まさに身から出た錆・・・だね!」
アリス「ぜんぜん意味違いますよ。怪我の功名とかでしょ。わたしも自信ないですけど」
博士「え?そうなの?」
アリス「身から出た錆は朝マックの会話のくだりのことですよ」
博士「アリスは本当に物知りだねぇ」
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