システム
(未上演短編)
システム

    二人の人間がいる。

人1   なぁ。
人2   何?
人1   色々な文字があるよな。
人2   何の話。
人1   数字とか、後、大文字だとか、さ。
人2   それってテロップ?
人1   違うよ。
人2   広告?それとも何かの記事とか。
人1   そうじゃないよ。
人2   じゃあ何。それ。
人1   パスワードとか、暗証番号とかの話。
人2   あ、成程、つうかさ、ややこしいよ。
人1   何が。
人2   話がさ。文字とか数字とか言われてわからんよ。普通。
人1   時々、忘れる。
人2   メモでもしたら。
人1   見られたら困るし。
人2   わかりやすい数字とかアルファベットとかさ。
人1   それこそ意味ないね、
人2   でもさわかりにくいからこそ意味がある訳で。
人1   忘れたり、間違えたりするけどな。
人2   だからこそ見破られたりしないんじゃん。わかんない訳じゃん。
人1   そして困る。挙句さ、忘れた時ようにさ、秘密の質問とかあるけどさ、忘れるよ  な。
人2   それはないだろ。論外だよ。マジで。
人1   いやいやひとこと言わせてもらうけどさ、それってサイトとかでさ違うんだぞ、  設定とか、質問の内容とかさ。
人2   それ言っちゃうときりないよ。
人1   どこかで統一、規則化するとかさ。
人2   それしちゃうと選ぶの同じになるだろ。そうなるとわかりやすくならない。
人1   ある程度、基準とかさ、あってもいいんだと思うんだよね。
人2   セキュリティというか安全性の面では凄く不安だよ。その発想。
人1   人がシステムに合わせろっていうのか。
人2   それが時代の流れだろ。
人1   なんか納得いかねぇ。便利にするために出来たシステムが不自由を生み出すって  どうなのよ。
人2   便利になった分、考えなきゃいけない事があるのは当然なの。いやだろ勝手に   利用されたり、最悪犯罪に悪用されるかもしれない。それを防ぐ為にもって話。
人1   やっぱり納得できない。
人2   はいはい。どんなに有用なモノでも問題はあるし、問題が広まれば、改善はされ  てゆく。その点を気長に待つしかないんじゃないかな。
人1   そうですか。
人2   そうですよ。

    携帯の着信音。

人1   何。
人2   ああ、国民システムの更新の件。
人1   ああ。

    スマートフォンを操作する人2

人2   ちょっと待っててくれ。あれ、エラー。おかしいなこれで設定したはずだけど。
人1   小文字、大文字は。
人2   あ、そうか。違う。う、ロックかかった。
人1   じゃあ忘れた用の操作で。
人2   質問形式か。は、「人間とは」って。わかんないよ。誰だよこんな質問選んだ奴は。
人1   自分だろ。
人2   覚えてないってこんなの、えーっと何だろう。
人1   メモは。
人2   とってない。これかな、じゃあカタカナ、漢字。それならローマ、ああっ。
人1   ロックされたね。
人2   誰だよこんな事考えた奴は!システムって。
人1   お前が言うな。

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