かけがえのないもの
『かけがえのないもの』
登場人物
大悟 (男・「ド直球ストレート」と言われる性格。葵に告白し続けている。社会人劇団に所属している。)
葵 (女・大悟とは中学校からの同級生。明るく元気な性格。大悟と同じ劇団所属。香菜の双子の姉。)
メグミ(女・大悟とは中学校からの同級生。面倒見のいい性格。大悟と同じ劇団に所属しているが,現在は遠方での仕事のため活動はしていない。)
香菜 (女・葵の双子の妹だが,姉とは違い内気な性格。同じ劇団に所属しているが,他のメンバーより所属は遅かった。)※葵と同一人物が演じる。
男 (男・大悟役が演じる。)
女 (女・葵役が演じる。)
0場
男が女と話している。(RPG風?)
男 俺,絶対,あいつを倒して,宝を手にして,ここに帰ってくるよ。それまで…待っててくれるか。
女 ・・・うん。
男 じゃあ,行ってくる。
男,旅立つ
以下,別の場所で交互にセリフを言っている。
男 俺は,どうすればいい!この世界で,自分の思いで突っ走って,結局,あいつに迷惑をかけているだけじゃないのか?
女 私は,待ってるよ。もしかしたら,あなたがここに帰ってきたとき,私はここにいないかもしれない。それでも,私は待ってるよ!
男 やっと,手にしたものも,一瞬で価値のないものに変わってしまった。なんで,俺は気付くことができなかったんだ!
女 ありがとう。あなたとどんなに遠く離れても,私は生き続けてるよ。あなたの中に,私はいるよ。
男 俺は,必ずあいつを探し出す!どこにいようと,何をしようと,絶対に!待ってろよ!
1場
メグミが出てきて手を叩く。
メグミ はい,お疲れ様〜。
大悟 どうだ!今回の台本の出来は!?
葵 やっと仕上がったわね。
メグミ けど,ちょっとここのシーンが弱いかな。主人公の思いが伝わりにくいって言うか。
大悟 あ〜そうか〜!
葵 うん,私もちょっと思ってた。
大悟 え〜!なら初めから言ってくれよ〜。
葵 とりあえず,完成することが第一でしょ。
大悟 そうか〜。他に気になることはないか?
葵 う〜ん。そうだなあ。ちょっとひねり過ぎじゃない?
大悟 どういうことだ!?
葵 もっと,ド直球ストレートって感じの作品の方が大悟には似合ってるよ。
メグミ いつもアンタが葵に対してやってる感じでさ。
大悟 お,おい!メグミ,何を・・・
メグミ (さえぎって)さ〜,今日はこれで練習終わろ。他のメンバーも来ないしさ。
葵 そうだね。じゃ〜ね。大悟。
大悟 え,はえ〜よ!そのまま帰んのか?着替えは?
葵 私たちこれ普段着だし。
大悟 お,俺はちょっと着替えてくるから待ってて!一緒に帰ろうぜ!
大悟,走り去る。
葵とメグミ,取り残される。
メグミ 相変わらずバカでからかいがいのあるヤツだねぇ。中学高校のときとな〜んにも変わってない。
葵 (笑いながら)そうね。
メグミ 葵に何回告白したんだっけ?
葵 う〜ん。忘れちゃった。1年平均3,4回ぐらいだから・・・,30回は超えてるかな。
メグミ 10年近くに渡って律儀なもんだ。そしてそれを振り続ける葵も怖い女だねぇ。
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