ビー玉雨と眠たげな夏-2018年版-
『ビー玉雨と眠たげな夏 -2018版 -』

―キャスト―
<大正時代>
櫻子(さくらこ)
はる
一郎(いちろう)
千博(ちひろ)

<現代>
茉莉(まり)
杏(あんず)
香澄(かすみ)
夏目(なつめ)
本宮(もとみや)



夏。前月に亡くなった曾祖母の家の片付けをしている四姉妹。介護業の長女・茉莉(まり)、大学生の次女・杏(あんず)、高校生の三女香澄と四女夏目。古本屋の定員の本宮が、出張買い取りの査定を終えて四人に話しかける


本宮   「えーっと、こちらの本、全部で1361点ですね」
茉莉   「はい、お願いします」
夏目   「すごい量だね、いくらになるかな?」
本宮   「このうち971点、こちらの段ボールに入ったものは、状態悪く、それぞれ1円での買い取りとなります」
茉莉   「1円ですか?」
香澄   「こんなに綺麗なのに?」
本宮   「(本を開き)中に書き込みが」
夏目   「ほんとだ」
茉莉   「(本宮に向かって、買取を)お願いします」
香澄   「茉莉(まり)姉」
茉莉   「家、置くとこないでしょ」
香澄   「そうだけど」
茉莉   「君たちの部屋に置くなら良いけど」
夏目   「香澄(かすみ)! ダメだからね」
香澄   「わかってる」
本宮   「(杏が手にしている本に気づき)あ、そちらの本もですか?」
杏    「あ、いやこれは」
茉莉   「夏目(なつめ)。ひいばあちゃん家にあるものは、全部片付けようって言ったでしょ」
杏    「うん…、でも…」
夏目   「高そうじゃん、これ! ね!」


    夏目、杏から本を取り上げ本宮に渡す。
    本宮、ぺらぺらとめくるが


本宮   「ああこちらは、手記やスクラップですね。おばあちゃんが自分で綴ったり、集めたりしたもののようですね。買い取りは」
茉莉   「あー、わかりました」
本宮   「こちらで処分することは出来ますが」
夏目   「お願いします」
香澄   「夏目!」
夏目   「断捨離!ね、茉莉姉」
茉莉   「そう、ね」
本宮   「では、こちらにお名前とご住所をお書きください」
茉莉   「はい」
香澄   「あの! さっきの本だけ」
夏目   「香澄」
香澄   「私の部屋に置くから!」
夏目   「あんたの部屋はあたしの部屋じゃん!」
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