災厄の巫女
『災厄の巫女』
神琴(ミコト)
醜き容姿の巫女。心優しい女性。しかし、胸中は劣等感でいっぱい。
神楽(カグラ)
美しき容姿の巫女。人々に愛され、明るく愛らしい性格。正義感も強い。
紡(ツムギ)
母。優しき人。優しさ故に弱き所も併せ持つ。
日向様(ヒナタサマ)
村を守る神様
【第1場:伝承】
幕が上がる。
ホリ色のみ。シルエット。
神琴:昔、日向様という神様に守られし村があった。
神楽:日向様は村に繁栄と豊穣をもたらす神様として、村の人々に深く信仰されており、事実、日向様のおかげかその村は非常に繁栄していた。
紡:しかし、代わりに村人達には守らねばならない約束があった。
激しい和太鼓の音が流れる中、神楽、神琴、紡の3人で演舞。
神琴:双子が生まれ落ちる時、必ずや後に生まれいづる者の命を奪へ
ピンスポが順にあたっていく。
神楽:片割れの命を奪えば、双子の半身は村を繁栄に導くであろう
紡:だがしかし、片割れの命を奪わなかった時、双子の半身、村を滅す
全員:必ずや片割れを殺せ!!
一瞬、舞台上全体が明るくなる。
暗転
【第2場:予知夢を見る人】
暗転の中、声だけ聞こえる。
村人1:神楽様、先日はどうもありがとうございました
村人2:神楽様の教え通り、遠回りだけど迂回して良かったです
村人1:まさか本当に土砂崩れが起こるなんてなぁ…!
村人2:我々が今こうしてここにいられるのは全て神楽様のおかげです
村人1:これからも助言の程、よろしくお願い致しますね!
明転すると、紡、面を被った神琴、神楽の3人がいる。
紡:今回もまた予言が当たりましたね。
神楽:ええ。村人の誰も犠牲にならないで済んで良かったわ。
紡:本当ね。教えてくれてありがとう、神琴。
神琴:いやいや…私の力ではありませぬ。全ては日向様のお導きです。
神楽:日向様が見えるなんてすごいわ、神琴は。
神琴:見えると言っても夢の中だけです。日向様がいるかどうかが夢か予知夢かを決めるだけで、日向様と話したりする事はできません…
神楽:それでもすごい事よ!…でも、良いのかしら。予知夢を見ているのは本当は神琴なのにまるで私が予知夢を見ているかのよう…神琴が感謝されるべきなのに私ばかりがいつも賞賛されてしまう…なんだか神琴に悪くて…
紡:本当に…ごめんね神琴…
神琴:そんな顔をなさらないでください2人共。この村はお二人も知っての通り、双子が生まれたら後に生まれ出づる方を殺さればならぬ掟のある村。その村に私のような醜きものと神楽のように美しき者の双子が生まれたら醜きものを災の巫女とし、皆殺そうとするものです。
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