まつくろ
まつくろ

 
 板付きで、猫耳少女と男。
 少女は媚びを売るような招き猫の小躍りをしている。
 男はあぐらをかいて、顔を上げて少女を見ている。


少女「にゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃん、にゃん♪」


 猫耳少女は小躍りを続けている。
 暫く小躍りは続く。
 男は動じずに少女を見続けている。


少女「にゃんにゃんにゃんにゃん、なんか言え。にゃん!」


 少女、決めポーズのまま動きを止める。


男「耳、4つなんだね」


 少女は交互に猫耳と耳に手を当てて慌てだす。
 男はゆっくり立ち上がり、少女を舞台袖まで押し出す。
 ドアの開閉のSE。
 男は舞台上に戻り、元の位置へ。
 少女、早歩きで再び男の所にやってくる。


少女「何で追い出すのよ?」
男「・・・そりゃそうでしょ。で、君は誰?」
少女「・・・ずいぶん落ち着いてるのね」
男「いろいろあってね、多少の事じゃ驚かない」
少女「死神」
男「死神」
少女「のようなもの」
男「のようなもの・・・落語家?」
少女「違う」
男「江戸屋猫八?」
少女「誰よそれ」
男「ばけ猫?」
少女「いきなり正解出さないでよ。
もうちょっと溜めなさいよ。
後2回、いや最低でも1回ぐらいボケは挟むものよ」
男「・・・そんな事をダメ出しされるのは生きてきて初めてだ」
少女「あたしだって初めてよ」
男「・・・ばけ猫って、本当にいるんだ」
少女「そうよ」
男「で、何しにきたの?」
少女「おまえを末代にするためだ」


 男は顔を伏せて、笑って体を震わせている。


男「俺を・・・末代に・・・か」
少女「そうだ、お前に恨みがあるからな」
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