菫青色-アイオライト-
『菫青色-アイオライト-』
田中太郎(男)
ジェーン・ドゥ(女)
御崎響(女)
橋田光(男)
田山田十五(男)
鳥飼洋之(男)
尾宮雅(男)
浜崎真子(女)
浜崎浅理(男or女)
浜崎佐武郎(男)
1-1
大雨が降る。
大地震が起き、驚愕嘆意。
悲鳴と轟音が絶えることなく響き渡る。
たくさんの人々が悲鳴をあげながら逃げ惑う。
そんな人の大波に逆らうように田中がジェーンの手を引いて走る。
田中 「誰か! 誰かいないか! 誰か!」
しかし答えるのは悲鳴と轟音だけ。
突如悲鳴と轟音が止む。
田中の独白。カセットテープで録音したような声が流れる。
田中 「『どこかの誰かの力になりたい』そう思い始めたのはいつだったか。誰かの力になりたくて、警察官を志した。退役してからはアメリカに留学していた経験を生かしてカウンセラーになった。決して何かが報われたかったわけじゃない。私は、ただ、誰かの力になりたかった」
カセットを巻き取る音。
暗転中にジェーンが再生を試みるように何度もカチカチと押す。
次第に雨音にかき消されていく。
ジェーンを取り囲むように徐々に照明フェードアウト。
最後の暗転するところはカットで。
1-2
某十秒チャージを咥えながら田中が入る。床に置かれたラジオを遊びながら机に置く。
田中の背後には沈痛な面持ちで項垂れたまま動かないジェーン。
御崎が辛そうな顔で入り、田中の前に座る。
田中 「えーと、御崎響さん?」
御崎 「(頷く)」
田中 「本日のご相談は?」
御崎 「…‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
田中 「えーと‥‥‥ジェーン? 君なら‥‥‥」
ジェーン「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
田中 「うーんと‥‥‥どうしたもんかね‥‥‥」
ジェーン、もぞもぞと動き、御崎のデータを田中に渡す。
田中 「あぁ、ありがとう。えーと、そうだな‥‥‥まずは、傷の手当からかな?」
田中、御崎の手首をとり、リストカットされた手首を消毒し、包帯で巻く。
田中 「どうしたの? 辛い?」
御崎 「(頷く)」
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