マッドサイエンティストの災難
【マッドサイエンティストの災難】
科学者:出来た…遂に出来たぞ!わしが30年もの時間を費やした成果。来る日も来る日も研究に継ぐ研究を重ね、ようやくこの結論にたどり着いたのだ。…長かった。こいつがこの社会の根本原理を覆す。そしてわしはこの世界の支配者になる。わしを否定する全ての人間に報いを!そして我が人生に栄光の証を刻みつけるのだ!はーっはっはっはっはー!!
科学者:と、いうわけで早速これを飲んで欲しいのだが…
部下1:嫌です。
科学者:は!?
部下1:だって…嘘ばっかり言うんですもん、安井さん。
科学者:な、何を言ってるんだ。この研究室で、共に努力をしてきた戦友じゃないか!なぜ急にそんなことを…
部下2:さっき、来る日も来る日も研究に継ぐ研究を重ね…って言ってましたよね?
科学者:そ、それがどうした?
部下2:安井さん、まぁまぁ飲み行ったりしてましたよね?
科学者:それは…たまにはいいだろう!?
部下2:たまになんてもんじゃないっすよ。毎晩のように安居酒屋に入り浸ってたじゃないっすか!
科学者:それは…。
部下1:それに、まるでなかったかのように語ってましたけど、大体仕事してるの僕らですからね?
科学者:それは…
部下1:偉そうに平和社会の根本原理を覆すとか言ってましたけど。いっつも僕らの手ばかり汚させて…この前なんか、「お風呂に入らない人間は本当に不潔なのか」とかいうよくわからん研究に付き合わされて、僕、彼女にフラれたんですから。
部下2:お前…だから最近臭うのか!
部下1:ほら、皆そのことを知らない…。被害被るのは僕らの方なので、もう少し考えて研究してくださいよ。
科学者:お前…それまだ続けてたのか。
部下2:え、まさか酔った勢いの冗談とかじゃないですよね!?
部下1:なぁ、お前しばらくこの部屋から出てってくれない?言いずらかったんだけど…結構臭い。
部下2:えぇ…泣きそう。
科学者:いや、それについては悪かった。確かに俺にも非がある点は多々ある。だがな!完成したんだよ!俺たちが必死に探していたこの世の真理を打ち砕く最強の薬が!これまでのツケは払う。しっかり給料も払う。なんならボーナスもくれてやる。だがな、それはこの薬の真価を見極めてからだ。(カッコつける)
部下1:今格好つけましたよね!だっせえな。
科学者:なんだとぉ!
部下1:いちいちカッコつけないでくださいよ!どーせ大した薬じゃないんだから。
科学者:大した薬とはなんだ!完成したんだから、格好つけたっていいだろ!?
部下1:だから、そういうところがみみっちいんですよ安井さんは!
科学者:安井さんと呼ぶな!「キャプテン」と呼べ。
部下1:その呼び方も気持ち悪いんすよ!なんだよキャプテンって。ここ大学院だぞ。
科学者:とにかく、完成したこの薬を飲んで欲しいだけなんだ…そのあとはもう、逃げるなり辞めるなり好きにして良いから。
部下1:ほら、本音がでた。僕らなんてただの実験台でしかなかったんだ。安井さんは俺らのことを、モルモットだとしか思ってないんですよ!(部下2に向かって)なぁ、もう帰ってスマブラの続きやろうぜ。
部下2は安井キャプテンから薬を奪い取り飲み干す。
部下1:お、おい…!!
部下2:これで満足ですか。あなたが求めていたのはこんなことだったんですか!?
安井:お前…
部下1:おい…お前大丈夫かよ。安井キャプテン、この薬は一体!?!?
安井は部下2の匂いを嗅ぐ。
安井キャプテン:成功だ…この実験は成功したんだ!
部下1も匂いを嗅ぐ。
部下1・安井:臭くない!!
〜終わり〜
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