俺らってやっぱ天使じゃねえ?
改訂版
第4回山田組公演台本
「俺らってやっぱ天使じゃねえ?」 高平 九
キャスト │脱走犯 柴田裕太 男
│主婦 神原真莉 女
│長女 神原安珠 女
│次女 神原美加 女
│夫の母 神原桐子 男
│夫 神原 仁 男
│弟分 清水健太 男
│婚約者 沖津大輔 男
│ニュースキャスター どちらでも
AD どちらでも 省略も可
│ BGM。緞帳が上がる。
│ 正月四日。午後三時過ぎ。安いアパートの一室。
│ 部屋には暖房らしきものがなく寒そう。
│ 舞台上には炬燵があるが炬燵布団だけで、なぜか天板がない。
│ 厚着をした美加が卓袱台の上で何か勉強をしている。
│ 下手袖から真莉が登場する。なぜか薄着である。
│
真莉 │ただいま。(下手袖奥に向かって)どうぞ遠慮しないで上がって。
│
│ 下手袖(玄関)からビニール袋を下げた柴田が入ってくる。柴田は
│ 女物のコートを着ている。真莉のものらしい。
│
美加 │おかえり。(柴田を見る。「またか」という顔)
│
柴田 │やあ(と美加に声をかけて部屋を見回す)
│
美加 │こんちは(と言ってまた勉強に集中する)
│
│ 真莉、柴田からビニール袋を受け取って、
│
真莉 │ありがとう。重かったでしょう。
│
柴田 │これ(と言ってコートを脱ごうとする)
│
真莉 │とりあえずまだ着てなさいな。ここも寒いから。
│
柴田 │はあ(と返事をして立っている)
│
真莉 │この子は次女の美加。これ置いてくるから、どうぞ楽になさってね。
│
│ 真莉、ビニール袋を持って上手袖(台所)に入る。
│ 柴田、美加の隣に座る。
│
柴田 │勉強か?(と言って美加のノートを覗き込む)数学だな。
│
美加 │……。
│
柴田 │叔父さんはこれでも工業高校だぞ。中退だけどな。貸してみな。(と言っ
│て美加のノートを取り上げて見て)なんだこりゃ?
│
美加 │リーマン予想。リーマンゼータ関数の零点が、負の偶数と、実部が 1/2
│の複素数に限られるという予想のこと。もう少しで証明できるんだけど。
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