消えゆく言葉/ (言葉遊び・リポグラム的実験コント)
『消えゆく言葉』

この国では言葉が消えていくことになったようだ。

人1と人2が話している。

【消えゆく言葉・上】

人1「もうすぐ言葉がなくなる? なんだそりゃ」

人2「いまは五十音があるだろ?」

人1「? ああ」

人2「五十音が多すぎるから、減らそうっていうことらしい」

人1「多すぎる? 別にこういうのは多いとか少ないとかなくないか?」

人2「そうなんだよ。その通りなんだよ。意味わかんないよな。
でも国の話し合いで決まったんだって」

人1「じゃあしょうがないな」

人2「なー。しょうがないよなー」

人1「ん? あれ、五十音って何個あるんだっけ?」

人2「何個ってそりゃ、あ、から、ん、までの……何個だろうな。
あれじゃないか? 五十音って言うくらいだから、五十個くらいじゃないのか?」

人1「へー。なあ、言葉が、五十音が無くなるって言うなら、無くなる前にたくさん喋っとこうぜ」

  照明が瞬く。(どうやら、『やゆよらりるれろわをん』が無くなったようだ)

人2「お、いいな。あ、でもさ、五十語が無くす時は、次第に消えて行くと聞いた」

人1「え、どういうこと?」

人2「だから、五十語消す際、次第に消えていく規則。
えっとね、最後の語スタートで消えていくって。次第に少しずつ」

人1「では、今は『まみむめも』の『も』スタートで消えて行くってこと?
   なにぞ、そげなことできぬ、できぬ?。できぬこと必至?」

人2「ははは……同意同意。至極同意いたす?。もしかして、もうすでにスタート切って?」

人1「まさかの?」

  照明が落ち始める。上を見上げる人1、人2。

人2「なにごと? なにごとなにごとなにごとぞ?!?」

  突然、照明が全て落ちる。



【消えゆく言葉・下】

  全照

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