Chained-Lives
『Chained─Lives』
登場人物:
・小平ユキト(こだいらゆきと)─二十二歳、大学四年の男性。
・朝霞コウセイ(あさかこうせい)─十八歳、高校三年の男性。
・執行人(しっこうにん)─黒い服の女性。小平と朝霞を監禁した犯人。
◯密室
どこかにある狭い密室。扉は上手側の一箇所のみ。
舞台中央に二脚の椅子(同じデザイン)が、背中合わせで据え付けられている。
下手側の椅子に私服姿の小平が、上手側の椅子に制服姿の眠る朝霞が、
それぞれ鎖で縛り付けられている。
二人の鎖の錠前には、それぞれ小さな鍵がついている。
明転。
小平「…もしもーし。」
朝霞「…」
小平「おーい。」
朝霞「…」
小平「もーしもーし。」
朝霞「…」
小平「わっ。」
朝霞「うわっ、びっくりしたぁ!」
小平「おはよう。」
朝霞「あ、はい、いや、えーっと…」
朝霞、立ち上がろうとして鎖に阻まれる。
朝霞「…ふんっ、ぬうっ…」
小平「無理しないほうがいいよ。俺も試したけど全然ダメだった。」
朝霞「…なにこれ。」
小平「きみも心当たりないんだ。」
朝霞「てことは、お兄さんもっすか?」
小平「うん。」
朝霞「ええ…誘拐とか…?」
小平「どうなんだろうね。」
朝霞「お兄さん、ここ来る前なにされてました?」
小平「唐突だなあ。」
朝霞「だって!こんなわけわかんない状況嫌じゃないっすか!」
小平「…そう?」
朝霞「そうっすよだいたいの人は!」
小平「へー…」
朝霞「とにかく、覚えてること教えてもらえません?なんでもいいんで。」
小平「うーん…バイト終わって歩いてたら、急に襲われて…」
朝霞「あー。」
小平「なんかガスみたいなのかけられたら眠くなって…で、気がついたら。」
朝霞「要するに、なんもわかんないってことっすね。」
小平「悪いけどまったく。」
朝霞「や、だいじょぶっす。俺もそんな感じなんで。」
小平「…高校生だよね?」
朝霞「はい。」
小平「学校は?」
朝霞「冬休みですー!」
小平「あ、そっか。」
朝霞「なに想像したのか知りませんけど!」
小平「ごめんごめん。」
朝霞「てか、この際過去のことはどうでもいいんすよ。」
小平「聞いてきたのそっちじゃん。」
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