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ぽんこつロボット養成学校

ぽんこつロボット養成学校

森山智仁

教師
　熱血漢　カーツワイル
　品行方正　イライザ

生徒
　優等生　ボナンザ
　根暗　ワトソン
　仲良し姉妹の姉　アルファ
　仲良し姉妹の妹　ベータ

人間
　政府高官　深海
　俳優　山田

【１】

　　イライザによる深海へのインタビュー。
　　深海はイライザのことを人間だと思っている。
　　※バナナと台と棒については実物を用意するのが望ましい。

深海　あなたは猿です。
イライザ　……それは知りませんでした。
深海　猿になったつもりで考えてみてください。
イライザ　わかりました。
深海　天井からバナナがぶら下がっています。
イライザ　はい。
深海　このままでは届きません。しかしここに台と棒があります。
イライザ　では、台に乗って、棒で叩いて、バナナを落とします。
深海　素晴らしい。
イライザ　ありがとうございます。
深海　猿には容易いことです。ところが、ロボットにとっては大変難しい課題なのです。
イライザ　何故ですか？
深海　まずは、目！
イライザ　目？
深海　見えている風景。カメラから入ってくる情報。この中から、棒と、台と、バナナが、「物体」であると認識しなければなりません。
イライザ　なるほど。
深海　（実演しながら）そして、適切な距離まで接近し、腕を伸ばし、五本の指を開き、拾う！　これも極めて高度な動作であると言えます。
イライザ　簡単そうに見えますが。
深海　ノンノン。手が届くところまで、腕を伸ばす！たったこれだけの動作でも複雑なプログラムが働いているのです。
イライザ　なるほど。
深海　続いて、台に近づき、乗る！これがまた大変です。平面を移動するだけならタイヤでもできますよね。また、障害物を乗り越えるだけならキャタピラでいいかもしれません。しかし、二足歩行で！　台の上に立つ！　となると恐ろしく難しい動作なのです。
イライザ　バランスとか。
深海　そう、バランス！いったん片足に体重を預け、上体が倒れないように持ち上げ、乗ったらまた元に戻す。めちゃムズです。
イライザ　なるほど。
深海　そして、バナナの位置を確認し！　適度な力で！　叩く！　落とせたかどうかを確認する！　落ちていなかったらまた叩く！
イライザ　猿はとても賢かったんですね。
深海　賢いというよりすごいんです！この高度な一連の動作を流れるようにこなしているところがすごい！　しかしやはり賢くもあります。そもそもバナナを取ろうと考えられる時点で賢い！　ロボットにはそれも難しいのです。例えば人間がバナナを取れと声で命じるとします。
イライザ　「バナナを取れ」
深海　「申し訳ありません。聞き取れませんでした」
イライザ　「バナナを取れ」
深海　「申し訳ありません。もう一度お願いします」
イライザ　「バ・ナ・ナ・を・取・れ」

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