部屋の隅には埃が溜まる
『部屋の隅には埃が溜まる』

登場人物
 柑夏 カンナ    
 爽太 ソウタ  
 清果 セイカ     
 海波 ミナミ  
 汐凪 シオナ  
(陽渡 ハルト)※出てきません






   舞台は神社の裏の子どもたちの秘密基地のような場所。いすや机に見立てた大きな石が点々としている。水鉄砲やバケツ、お菓子の缶などが散乱している。傍には用水路があり、水が流れている。遠くからは賑やかな夏祭りの音がする。

   明転。

全員(声)「最初はグー、じゃんけんポン!あいこでしょ!」(じゃんけんほい、あいこでほい、みたいにバラバラにしても楽しい。)
柑夏(声)「やった〜!」
清果(声)「負けた!」
爽太(声)「じゃあ、お願いな。」
海波(声)「たくさん買ってきてね。」
汐凪(声)「仕方ないなぁ。」

   柑夏、爽太、清果、海波、入ってくる。

海波  「じゃあ、よろしくね。」
清果  「行ってらっしゃい。」
爽太  「途中で落とすなよ。」
汐凪(声)「分かってるよ。」

   子どもたち、思い思いに座ったり寝そべったりする。

柑夏  「あっち〜。」
爽太  「あっついね。」
清果  「かき氷も買ってきてって頼めばよかった。」
爽太  「俺、買ってこようか。」
清果  「いいよ、後でみんなで行こう。」
柑夏  「かき氷たくさん、一人じゃ持てないし。」
爽太  「そうだね。」
柑夏  「早くたこ焼き食べたいね。」
爽太  「お祭りで食べるたこ焼きって、カクベツだよな。」
海波  「カクベツって何?」
清果  「特別おいしい、ってこと。」
海波  「へえ。確かに、なんかおいしいよね、お祭りのたこ焼きって。」
爽太  「お祭りの空気が入ってるんだよ。」
柑夏  「お祭りの空気?」
爽太  「お祭りの空気を入れながら焼くとおいしくなるんだって、兄ちゃんが言ってたよ。」
清果  「ふうん。じゃあ、毎日お祭りしたら、毎日おいしいたこ焼きが食べられるね。」
海波  「それいいね。」
爽太  「俺は毎日夏休みがいいな。」

   突然ストップモーション。舞台上の時が止まる。
   SE「汽車の音」

   何事もなかったかのように一斉に時が動き出す。

清果  「毎日夏休みって、そのうち夏休みじゃなくなっちゃうよ。」
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