私の名前は猫である
「私の名前は猫である」
作 菅原悠人


登場人物
 ・加藤猫


加藤 私の名前は猫である。これは決してあの著名な先生で千円札である偉大過ぎる人の作品をパクったのではない、これは勘違いしないでほしい、本当だよ?私の名前が猫、加藤猫なのだ。と聞くとあの全世界に絶大な人気を誇る愛玩動物CATの話だと思う人もいるかもしれない。カッコいいので英語で言ってみました。どや。でもこれは名前が猫なだけのどんでん返しもなにもない一人の女性の話なんだなこれが。残念だったね。私は23歳で社会人二年目の普通のOLだ。会社の同期と一部上司になぜか下の名前の猫と言われている。
「おい猫、研修の資料準備出来たか」「猫、今月の数字大丈夫か」「猫ちゃん、今日の当番お願いしてもいいかな」などなど。
やれやれ、猫の手も借りたいとはよく言ったものだ。いそがしやー、いそがしやー。そういう時私はいつもこう言うのだ「にゃー」と。同期は笑ってくれるが上司にはたまに怒られる。おかしい、猫って言うから答えたのに、にゃー。
まあ、おかしいのは私の名前なんですけどねー、分かってますよー。こっちとら、この名前で23年も生きてきたのだ。並みの人間ではおそらく耐えることは難しいだろう。
小学生の頃、私はイジメのターゲットだった。まあイジメって言っても大したことはない。机の上にキャットフードが置いてあったり、猫じゃらしが置いてあるぐらいだ。丁重にそのキャットフードと猫じゃらしをそいつのランドセルに全部お返ししてあげました。まったく小学生はくだらないことをするものだ。でも、なぜか怒られたのは私だったな、はて分からん。
でも一番分からないのはなぜお父さんとお母さんが猫という名前をつけたのかと言うことだ。またまた小学生の時だが学校の課題で名前の由来を調べることになった。私は、「えーめんどくさーい」と口では言っていたが内心では「よっしゃー!!」と喜んでいた。お父さんは名前意味を聞いても笑って誤魔化すだけだし、お母さんはなぜかチョップしてくるし。
でも学校の課題と言うことならきっと教えてくれるはず!私は走って家に帰りすぐにお母さんに聞いたのだ。「ねえねえ!お母さん!学校の課題で名前の由来を調べないといけないから教えて!ねえね…いだっ!」またチョップされた。おかしい。
   結局、お父さんも教えてくれず学校の課題は適当に書くしかなかった。しかし、何が悲しくて自分の名前の由来を自分で考えないといけないのだろうか。シャー!やる気がなくなった私は、生まれた時の顔が猫に似てたからと書き先生に提出した。なぜかチョップされた、おかしい。
   世の中分からないことばかりだ。ミステリーだ、サスペンスだ、二時間スペシャルだ。いつか意味が分かる日が来るのだろうか。いや、きっとこない。こんな私ですが恋人がいる。会社の先輩で26歳の正人さん。
   正人さんの仕事は優秀で最近主任に昇格した。顔も低く見積もってかなりのイケメンだと思う。あととにかく優しいの!いつも車道側を歩いてくれるし、重いものを持ってたら持ってくれるし!きゃー。とのろけまっくている私ですが一つ問題がある。それは苗字。正人さんの苗字なのだ。彼のフルネームは犬山正人。犬・犬・犬!まさか猫と犬が付き合うなんて思わなかった。しかし、好きになったのだからしかたがない。付き合って二年がたち私は彼からプロポーズをされた。
   もちろんOKと言いたかったが、そうしたら私は犬山猫になるのか。それでは猫なんだか犬なんだか分からないではないか。私の思考をフリーズさせるには十分すぎるほどの衝撃だった。
   私は正人さんに事情を全部話し、急いで家に向かった。名前の由来も分からないのに犬山猫なんて絶対に嫌だ。「おとうさん!!!!」
   お父さんは私の声にビックリした様子だったが構うもんか。「にゃにゃにゃ!ああ、違う、ふざけんな!ああ違う違う、この中年豚野郎!ああ違う違う違う、私の名前の由来ってなに!!??」なんか色々間違った気がするが良しとしよう。「なんやねん!」なぜか関西弁が出たが良しとしよう。お父さんは口を開いた、そして「え…、生まれた時の顔が猫に似てたから?…ふざけんな中年豚野郎!!にゃー!!」


〜終わり〜
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