Nostalgia
Nostalgia


                作 : 三木 胡桃    
                潤色: 川西明峰高校演劇部


出演者 総数 5 (男 1 女 4 不定 0)
上演時間 30分

初演 2019年3月

あらすじ 
 平成31年2月 ―― ある山頂の展望台にやってきたカップル。
 先客に「平成最後に、忘れたくない風景を取材したい」と願う、タウン誌の広報フジワラ。
 自称・小説家のワダさんも、この展望台を舞台とした、忘れたくない思いを小説にしたいらしい。
 
 この場所では、午後8時頃に冬の大三角が見えるらしい。
 オリオン座の一等星ベテルギウス、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンを結んでできる大きな三角形。

 謎の少女の正体は…

 終わり行く平成、忘れたくないものに思いを馳せると、言葉にならない思いがこみあげてくる。


【キャスト】 
 
コ コ ア(女)  ・・・
キミくん(男)  ・・・
フジワラ(女)  ・・・
ワダさん(女)  ・・・
謎の少女(女)  ・・・



1.なくなっていくものに対するモヤモヤ

 ノスタルジーなM。観ている者に郷愁の念(心に沁みる、懐かしい、切ない、ノスタルジックな感じ)を抱かせるような世界観である。ブルー色に染められた舞台、スモークが立ち込める中に人影が浮かぶ。まるで、みんな空の上にいるようである。

フジワラ  平成31年2月。
ワダさん  日の入りの時刻は午後5時55分。
キミくん  午後8時頃には冬の大三角が見える。
全  員  冬の大三角。
キミくん  オリオン座の一等星ベテルギウス、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンを結んでできる大きな三角形。
ココア   冬の星座のガイド役らしい。
フジワラ  でも、なかなか見えない。
ワダさん  月だけががぼんやりと霞んで見える。
ココア   忘れたくないもの。
キミくん  忘れたくない気持ち。
フジワラ  忘れられていく場所。
ワダさん  忘れられていく人。
全  員  何もかもが、忘れられていく。

 下手の望遠鏡にサスが入る。霞んでみえる月のように、ぼんやり暗転。

2.展望台にやってきたココアとキミくん

 Mがフェードアウトしていくと同時に、カメラのシャッター音と共に明転。舞台上手に長椅子が一台、下手に望遠鏡と簡易なイスが設置されている。時間帯は昼から夕方にかけて。フジワラはカメラの設定を確認しながら、街並みを撮影し続けている。ワダは長椅子に座りながら本を読みこんでいるらしい。謎の少女はイスに座り込んで、望遠鏡をのぞき込んでいる。ココアとキミくんが登場。

ココア   わぁー、すごーい!見て見て、めっちゃ街見える。
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