ひめじゅく!
『ひめじゅく!』

【登場人物】女3名(+黒子0〜2名。いてもいなくても)
元気:元気で積極的な女子高生。綺麗な靴をはいている。
弱気:弱気で人見知り。元カエル。
講師:お姫様。ドレスとか白雪姫衣装とか見るからにお姫様。

【上演時間】10分

【あらすじ】
ごく普通の高校生だったのに、靴のサイズがぴったりだったという理由でお姫様に!?
ごく普通のカエルだったのに、王子様のキスで呪いがとけてお姫様に!?

そんな二人がお姫様のマナーや心構えを学ぶため「お姫様塾」にやってきたのだが……
はたして二人は立派なお姫様になれるのか!? メルヘン短編コメディ。

【本編】

(塾の教室。弱気が一人座っている。元気が駆け込んでくる)

元気「こんにちはー! 先生はまだ来てない?」
弱気「ま、まだです……」
元気「よかった。間に合ったー!
   はじめまして、灰岡です! 今日からこの塾に通うことになりました!」
弱気「は、はじめまして……大沼です」
元気「よろしくね! ねえねえ、どう? この塾って良い感じ?」
弱気「あの……私も今日初めてで……」
元気「そうなんだ。お互い大変だねー。
   私はふっつーの家で生まれ育ったんだけどさー、
   先週急に使いの者とかいう人達が来て、私にこの靴履かせて、
   サイズピッタリだからーとかで選ばれて。もーびっくりだよー。
   あなたは? 生まれつき、そういう家系?」
弱気「い、いえ、私も先週急に……」
元気「あー、じゃあ私と同じ一般家庭出身なんだ?」
弱気「いえ……実は、私……カエルなんです」
元気「……え?」
弱気「生まれた時からカエルのつもりだったんですけど、
   先週王子様にキスされて呪いが解けて人間に……
   すみません……こんな生まれで……」
元気「すごーい! へー、カエルなんだー!」
弱気「え……? 気持ち悪くないんですか?」
元気「なんで? かわいいじゃん、カエル。
   子どものころ遊んでた沼でよく見かけたなー。
   ザリガニ釣ったり、泥団子作ったりするの大好きでさー」
弱気「あ……泥団子は、私も作るの好きでした。
   ザリガニは怖くて近づかなかったですけど……」
元気「あー、でも、もう沼で遊ぶとか禁止されるのかなー」
弱気「そうですよね……」
元気「あーあ。困っちゃうよねー。急にお姫様とか言われても」

(講師入室)

講師「御機嫌よう」
元気「うわ! お姫様だ! 」
講師「ええ、そうですよ」
元気「わー、チラシに書いてあったの本当だったんだ。
   この塾では本物のお姫様が講師やってるって」
講師「ええ。あなたがたは普通のご家庭で育ったのですよね?」
元気「はい、そうです」
弱気「あ、私は、普通の家庭っていうか……沼で……」
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